序盤を読んでの感想です。
作者自身の幼少期を描いた実話ベースの物語。東京で生まれた主人公が、新潟の田舎で「王子」として大切に育てられるエピソードが綴られています。出産時の母・フミの壮絶な体験、そして霊安室での目覚めという衝撃的な展開が序盤を引き締めています。昭和らしい情景描写が懐かしさを感じさせます。
キャラクターたちは個性豊かで、特にフミの強さと愛情が際立ちます。息子のために奮闘し、商売に挑戦する彼女の姿は、どの時代にも共通する母の偉大さを物語っています。新潟の家族たちも温かく、王子を迎える少女たちの興奮は微笑ましく描かれています。
昭和のレトロな雰囲気を残しながらも軽妙でユーモラス。特に手賀沼の漂流騒動やドジョウ鍋のエピソードなど、リアルな笑いを誘う場面が豊富です。ゲームよりも面白いと作者が語る通り、現実の出来事がそのままドラマとなり、読者を惹きつけます。
母の愛と家族の絆が織りなす、昭和の波乱万丈リアルファンタジー。懐かしく温かな気持ちにさせてくれる作品でした。