馴染みのある地名や体験があると、共感できる部分が多くて読むのが楽しくなります。そこに不可思議な事が入ってくるので作者の独自の世界観が出てきて面白いです。自分の経験だけでなく他者の経験も織り混ぜてあり、読んでいて自分も多重の経験が得られるような気がしました(実際は気のせいなのですが……)。描写も鮮明でしたし、作者は日々の生活を大切にしている人なのかなと思いました。
適度に入った地名が郷愁をそそります。とはいえ、私は数ヶ月前に白鬚橋を渡ったのですがそれは郷愁に入るのか。そして花畑と雑な「静かなところ」のミスマッチが素敵です。こういう楽しさと郷愁をしみじみ味合わせてくれる書き出し、大好き。
昭和世代、今の50歳前後から上の世代の人には、もうひたすら、懐かしい限りです。登場する風物、列車等、今では、模型か映画のセットくらいでしか再現できない時代になってしまいました。それだけじゃない。この頃を生きていた人たちの肌身からの「身体経験」は、静かにしかし確実に失われつつあります。こういう作品が残っていくことで、保存されていくことを祈るのみです。
東京駅の窓口で違うアクセントで言われるとイラ!それはレコードの針の会社のアクセントだってばさ
いいですねこれ。ちなみに私の地元は野田です