龍使いの少女 リサ スヌーズ
アハレイト・カーク
龍使いの少女 リサ スヌーズ
「私の夢は操龍師になって、旅客龍師になることなの! そして、お祖父ちゃんやレハートのみんなを街に連れて行くの!」
そう言った少女、理沙は険しく連なる山々の間を、相棒の龍に跨り飛んでいた。
龍。そう呼ばれる存在は一般的にヘビのような体に小さな手足が生えており、空を飛ぶもののことを指す。個体によっては翼のある個体もあり、話せないものの人語を理解することもできる。
理沙の相棒は祖父である礼央から譲り受けたもので、彼によって完璧に調整されており、並みの龍では簡単には追従は出来ない。
そういうことで、理沙に練習飛行と称して連れ出された理沙の隣人の少年、健斗は彼女の後ろを何とか付いて行っていた。
「待ってくれよー! お前のは、礼央さんが調整してんだろ! 俺に追いつけるわけないじゃんか! もう少しゆっくり飛んでくれよ!」
「何よ健斗! もう泣き言なんか漏らしちゃって! そんなのじゃまだまだよ! もっと飛ばすわよ、崔紋!」
* * *
「……い! ……指揮兵! ランブロウ中級指揮兵! 起きてください! 共和国軍がこちらに向かっているそうです。すぐにブリーフィングルームに来てください」
理沙・ランブロウは、部下からの呼び声で眠りから呼び戻された。
「すまない。少々うとうとしてしまったようだ。すぐ行く」
部下にはそう話すが、実際はうとうとどころではなく居眠りをして、夢を見るといった有様だったが、彼女は不思議な感覚を味わっていた。
軍に入ってすぐの頃、就寝時間に眠れない程緊張しっぱなしだった自分が居眠りをして、しかもあの頃の夢を見るなど思ってもみなかったのだ。初めて見る夢は戦場の夢だとばかりおもっていた。
自分はこの戦場の空気に慣れてしまったのか、それともこの空気が嫌になって、あんな夢を見てしまったのか。理沙はそんな迷いをかき消すように髪をかき上げ、ブリーフィングルームへと入った。
* * *
レザル竜王国。その名の通り、この国は竜王によって統治された国である。
竜。そう自らを名乗る彼らは人のように二足で立ち、翼をもったトカゲのような見た目をしており、人語を話すこともできる。そして、人間よりも優れた技術力を持ち、彼らが従える龍を率いた軍によって、降り立った地の人間を征服。レザル竜王国を建国。そこに住む人間には元の名に神聖文字(ここでは、文字転写の関係で漢字表記)を当て、名前の呪縛により自らの臣民であることを強制していた。
レザル国内の人間で、魔法を使えるものは五人評議会などの国政に携わる機関などで竜と共に暮らす道を歩んでいたが、魔法を使えない人々は過酷な支配生活を強いられていた。しかし約40年前、竜王、
現在に至るまで、国境沿いに於いての小競り合いなどはあったが、大規模な戦闘はなく、前線から離れた所にある
しかし、対アドラント戦を見越したカーベルは、レザル竜王国を用いてアルレザルを占領。対アドラント戦の橋頭保とするべく動き出す。また、何とか失った権威と土地を取り戻そうとする新竜王、
戦闘はそのままアドラントの介入によって継続。実質的にはアドラント対カーベル・レザル連合といった形になっていく。その様子を見ていたアルレザル国内では、大統領を中心に魔法を持たずとも平等な暮らしができることを目標にした平等国家形成の動きが起こり、アルレザル平等国として独立を表明。アルレザル共和国は貴族を中心に新大統領を立てて独立に反対。ほかの国々も、平等国家形成の波及を恐れ、ほかの戦線を維持したまま平等国に対し宣戦。平等国にとっては、敵同士で争っているものの、四ヵ国を相手にし、周りには敵しかいないという絶望的な戦いであった。
そんな時代を、理沙・ランブロウは生きていた。そして……。
龍使いの少女 リサ スヌーズ アハレイト・カーク @ahratkirk83
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