10、

 心理学者による数々の実験と結果を聞いているうちに私の意識はまどろんでいった。

 まどろみながら、もしこのまま、死んでしまったらどうしようと、ちらりと思った。

 おそらく、薬の飲みすぎでものすごく眠いのだ。薬に誘われた眠りで私は死ぬのかもしれない。死ぬという感覚は、もしかしたらこんな簡単なまどろみによく似たものかもしれない。

 もし、こんな一日で、私が終わってしまったら。

 それでも私は、私であり続けるのだろうか。

 今まで何が起きても私は私だった。私がただ連続してきた。私以外は、全部附属品だ。

 耳にカビを生やしたことも、薬を飲みすぎてしまったことも、おかしなこどもだったことも、いろは歌の好きなほうを書かなかったことも、助けられなかったウサギのことも、彼のことも。


 目が覚めなかったら、その時また、考えよう。

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昨日も今日も、次の日も 村むらさき @muramurasaki

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