泉シリーズ
花屋 ラスク
第1話
「そこらへんに座って。」
高校2年生の12月、ある友人に遊びに誘われた。
この友人仮に泉とするがこの男は、顔がよくコミュニケーションも得意なのでうちの学級でも中心人物の一人だった。対して自分は、
クラスから見て目立つ方ではなかったが
泉とは話が合い一緒にいることが多かった
その趣味がカードゲームだったり
食べ物の好みだったりするのだが一番意外なのが彼はオカルト好きだったのだしかもそれを隠して居たのである。
そしてその泉から「見せたいものがある」と言われバイトもなかったし何より家にいても特別にやることがないので行くことにした。
泉の家は、学校から自転車で40分ほどの所で
中々に立派な家ではあるがどこか不気味であり現実から隔離されているような感じがあった。家の中には、彼の祖父が集めたらしい
人形や古時計などがあちこちに見られた。
部屋に着くと泉はクローゼットからある物を取り出した。ボロボロの木箱だった。
「これだよ」
「これがなんだよ」
俺は、こいつのことだし何かいわくつきな代物だろうとは思っていたがあまりに予想と違っていたのでつい不機嫌に言ってしまった。
「なんかね、開けると一生不幸になるらしい。」
「なんだそれ。まさか開けるとか言わないよな。てかそれ不幸になるのはあけた本人だけだよね?」
「開けたいんだよ。でも開かない、鍵がかかってるんだ。」
「鍵?」
見てみると確かに箱に南京錠がかかっていた。が、木箱本体に比べて南京錠は新しく綺麗な状態だった。
「これお前のじいさんが持ってきたんだろ?」
「うん。質屋で見つけたらしい」
「爺さん開けたの?鍵新しいけど」
「いや、たしかにじいちゃんが持ってきたけどじいちゃんはこれ持ってきた後すぐ倒れて病院行ってそれで死んだからあけられるわけがない。それに鍵はこっちでつけた。じいちゃんが持ってきたときはガムテでぐるぐる巻きだったよ。」
「なら、これニセモノだろ。
まぁ、本気でそういうの信じてるわけじゃないけど…」
「だけどその鍵がどこにあるか分からない」
あぁ、こいつ人の話聞かないなと思った。
「爺さんの部屋のどこにあるかわからないと?」
「いや机の引き出しにあったよ。」
「なら開けれるじゃん」
「なくしたんだよ。」
「どこで」
「この部屋で。」
ならすぐに見つけられるんじゃないだろうか。確かに少し広い部屋だがしっかり整理整頓されてるし簡単に見つけられるはずだ。
ということを言ってみたら泉は更におかしいことを言った。
「この部屋だけどこの部屋じゃない」
なんだよなぞなぞかよと思ったが黙って聞いていると
「別の世界のこの部屋なんだよ」
「は?」
「だから取りに行けない」
なにを言ってるのか分からなかった。
別の世界の部屋?そんなマンガみたいなことがある訳がない、あれ?もしかしてこいつ危ないやつ?みたいなことを考えていると泉が「でも開けてみたい」なんて言っているもうこいつはこれ開けて一生不幸でもいいのかなんて思っていると
「だからもう一度ここに来たこっちのせかいに」と言ってきた。あ、こいつ厨二か?とか考えてるうちに 泉はズボンのポケットから鍵を出して南京錠に持って行く。
その瞬間俺の目の前が暗くなった。と思ったら耳鳴りがなり床も揺れてきたなんだかとてつもなく怖くなり目を瞑っていたら十数秒だっただろうか肩を叩かれ目を開けると笑っている泉がいた。
「何があったか知らないけど少しはこういうの信じる気になった?」
「なにがあったんだよこれ?!」
「さぁ?僕には分からないね君にしか分からない、ただこういう体験をしやすい体質ではあるようだ」
「なんだよそれ…」
「とにかく気にしないほうがいいよ。」
結局そのあとは、普通にカードゲームをして時間を潰しそのまま帰った。
その夜、ベッドに入り今日あったことを思い出していると少し引っかかることがあった。
あの木箱が本物だとして泉の祖父が箱を手に入れる前に誰かがその箱を質屋に持って行ったその人物はあの箱を開けたのだろうか。
そして泉はあの箱は家に来た時は南京錠ではなくただガムテープでグルグル巻きになっていたと言った。ならば木箱が家に来てからあの家の誰かが木箱に南京錠をつけた。
あの家で何かあったのだろうか。
ちなみにあの木箱がどうなったのかは知らないしあの日彼が言っていた別の世界のことが本当かはもう分からないが俺はあってもおかしくないと思う。
何故なら俺は、それから泉絡みで色々な目に合うことになるからである
泉シリーズ 花屋 ラスク @Hanaya4869
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