主人公の夏菜ちゃんがかわいい。
思い出を引きずる男はくしくも、トラウマを抱いた幼い自分と同じ年頃の少女と出会いました。
ちょっと自己中心的でノー天気な女の子は、身の回りの世界で起こることをまっすぐな視線で語っていきます。
言葉にして行動もする。
結局、大人たちが秘めた真実に子どもは立ち入ることはできませんでしたが、彼女の行動が止まっていた時間を動かし、すべてを見送った彼女は、少し大人に近づいたのかもしれません。
(自分の心に向ける真摯さは、私なら中二くらいでようやくたどり着くような高い精神性を感じましたが)
白ブリは充分堪能しました。今度は「なつのうた」を楽しみにしております。(笑)
季節は春。小学四年生の女の子、夏菜が出会った中年の男性はとても優し気で、子供相手にも丁寧に接するとても紳士的な人でした。白ランニングシャツに白ブリーフという格好の変態でしたけど。
いくらお話の中とはいえ、幼気な小学生とこんな変態を並べてしまっていいのか⁉そう思いながらもついつい先が気になって読み進めてしまいました。
変態さんにも色々な事情があります。仕事で嫌な事があった、昔好きな人がいたけど想いを伝えられなかった。そんな変態さんの身の上を聞いて、夏菜が起こした行動とは…
とにかくインパクトの強いお話でした。
このレビューを読んでくれている小学生がいましたら一つ忠告しておきます。もし現実でこんな変態と遭遇したら逃げて!
小学生の夏菜ちゃんが、白ランニングシャツに白ブリーフの変態さんに出会って、交流する物語。
と書くと、別の意味で動悸が止まらないのですが、この作品に出てくる変態さんは、とっても紳士です。しかもイケメンボイス(個人的にここ重要)です。
しかも、変態さんには、何か事情があるようで……?
語り口はあくまで優しく、軽やか。まるで、春のそよ風のようです。
そして、何より素晴らしいのは、子どもである夏菜ちゃんが、子どもや大人について語る内容です。
時に、「ああ、子どもの頃は確かに夏菜ちゃんみたいにこう思っていたなぁ」とか「うん、大人ってずるいよねえ」とか、今の自分と子どもの頃の自分を比較して、切ないようなノスタルジックな気持ちにさせられます。
そんな感情を、ぜひ味わってください。