異世界転生ものでバトル!というよりは、人間関係や世界を主人公スサーナちゃんと楽しんでいく感じの創作です。
章が進むにつれて、バトルやトラブルの規模も大きくなり、スサーナちゃんを見てハラハラすることも増えました。
恋愛…キュン要素は各所各所にちりばめてあるので、これからにすごく期待しています。
小さな頃から自分を見守っている美しい魔術師さん、頼りになる同じ一族らしき少年、自分に忠義を立ててくれる忠犬めいた用心棒的お兄さん、そして甘酸っぱい片想いをして応援されている王子様…誰とフラグが立つんだろう…誰と結ばれてもいいからスサーナちゃんは幸せになってください…
「女の子が異世界転生を果たし、新たな世界で成り上がりをしながらチート魔術を使って美男子を魅了していく。」
と、このように概要を書き出すとテンプレ小説にしか見えないにも関わらず、この作品は全くそんな感じがしない不思議な作品です。
原因の一つは、主人公であるスサーナが(設定上理由があり)自身に頓着せず、一人称形式の物語とは思えないほど自分の事を考えない子供だからでしょう。
他人や周囲や環境にとても敏感で、お節介が過ぎる主人公が様々なことに巻き込まれる話なのですが、本当に自分を大切にしない。。。
そのため主人公に同調/共感することで物語を楽しむタイプの人は少し厳しいかもしれません。
一方で親のような目線でハラハラしながら楽しむ自分のような人間には、スサーナと同じような俯瞰視点で楽しむことが出来ます。
恋愛小説でも、テンプレ悪役令嬢でも、転生チートでも どれでもあり、どれでもない不思議な小説。大変おすすめです。
ストーリーは素敵でお話の内容もとても面白いです。ですが、主人公の魅力が今のところもうひとつ欠けているように感じました。
主人公が自分からどうしたいかどうなりたいかという目的意識が曖昧になってきて、最近は無駄にふわふわと受動的にしか行動出来ていないように思えます。
前世の事情や話の途中で知ってしまったあれこれでそうなってしまった理由はわかるのですが、第三者視点で物事を見過ぎているせいなのか自分のことを大事にしてくれません。主人公を怒ったり心配してくれている人へもう少し耳を傾けて真剣になって欲しいと読んでいてとても歯痒く感じる時があります。
もう少し嫌なことに強く怒ったり負の感情を外に出せるようになって欲しいですし、一生懸命生きて欲しい。
第三塔さんの助力もあり、今は(耐えられないから)ずっと見たくないものから無意識に目を逸らし続けている状態なんでしょうが、いつか問題と向き合って人間的に一皮剥ける時が来て主人公スサーナちゃんの魅力が一層輝く時を楽しみにしています。
キャラクター相互の思い合いがわかる絆のエピソードなど(主人公に一方的に色々してもらってるだけという印象がまだ拭えないミアちゃん側の話とか)そういった相手側の話などももっとあると嬉しいです。
ストーリーは非常に面白いですし、文章も読みやすいです!
本当だったら、星の3つ!
面倒見が良くて、ちょっとお節介で、いつも笑顔でのりきる優しい主人公、スサーナちゃん大好きです!
ただ、スサーナちゃんの、あり方が痛々しい。
基本的に自分には価値がなく、友達や周りを助ける為に平気で命を投げ捨てる行動に出ます。
友達が自分の責任で自分で判断した行動なのに、私が「ああしていれば」とか「私のせいだ」とか勝手に背負っちゃいます。
自分は大人なのだという自負が友人を庇護認定するので、真実対等な友達がいません。
大人という自負があるにしては、自己管理がゆるゆるで、自分が死んだ際の責任が誰に問われるのか考え付かないあたり、社会人としては失格で、社畜系ともなんか違う気がします。
スサーナちゃんが好きな私からしたら、もっと自分を大切にして!と悔しいやら悲しいやらです。
好きだと思う人か、自分は無価値だと、簡単に命を投げ出すのは悔しいし悲しいです。
たぶん、スサーナちゃんの周りにもそういう人いると思うんだけどなぁ。
スサーナちゃんが簡単に自己犠牲しなくなるまでは星1つ。
ある時、国の内陸に住んでる人達からはマジヤベー認識されてる島に転生してしまう主人公。
その島は、実はめっちゃ便利で住み心地の良い所なのであったーーー
“転生チートができないほどに!”
主人公は前世の記憶を持ちながら歳相応に、時に大人な対応をしつつのびのび成長していく……のだが、ひょんなことからいっっつもトラブルに巻き込まれる。
回避しようとしても、一周回って結局トラブルの被害に。
そしてそれを心配して段々と保護者ポジションの人達が増えていって…。
これは登場人物みんなが生き生きとしていて、
文章もわかりやすく、
各話ごとに楽しく読むことができるとても良い作品です。
ほのぼの系が好きな人には絶対オススメですよ!
主人公のスサーナちゃんは異世界転生しちゃった22歳の記憶持ちの女の子。
すごく前向き、好奇心旺盛、世話焼きで、しっかりしてるつもりなのに鈍くて、抜けてて、本人は知らないだけで色々な秘密を抱えていそうなミステリアスな魅力もあり、子供らしい無邪気さと元大人の知識の織り成すアンバランスさ、子猫的な可愛さもありで、目が離せません。
そんな彼女ですが、割といろんな危機に晒されてますね。
本人が呑気なのと、周りに守られてたりで、深刻な感じは薄れてるのですが、さてさて、今後はどんな事件が待っているのでしょうか??
緩急、シリアスとコミカルのバランスが絶妙で、丁寧に描かれた世界が楽しめるオススメ作品です。
異世界転生物なのですが即座に無双せず(できない)、主人公が標準的な子供の育ち方をしていき、作中世界への理解を深めていく過程が丁寧です。この世界で暮らしてみたいと思うほどディテールが素敵です。
主人公の知識と作中世界の常識とのズレが時にチートにも、また逆に危機を招くのにも働くだけでなく、作中世界の小道具をよりイメージしやすくする描写に一役買っていて上手いなーと感心しています。
作中ヒロインがモノローグに出す「ゲド戦記」「ダウントン・アビー」の他にも「大草原の小さな家」「赤毛のアン」が好きな人にはオススメです。バリバリバトルしたり一攫千金の異世界もいいですが、スローライフならコレです。
大人のために、大人の書き手が子供を書くと、子供がちょっと大人びるのはふつうのこと。
誰かが考える異世界は、今その人がいる場所を基点として構築されるのだから、現代日本が垣間見えるのは普通のこと。
それを避けられないならとをいっそ舞台設定として取り込んだ転生物ですが、それによってできるようになった横紙やぶりをしないために、かえって描かれる世界に重層感が生まれています。
夜の花の香や市場の食べ物、ただの子分ではない友人と家人。子供の視点から見えるものが、周到に張り巡らされた伏線に導かれながら躍動します。
伏線はいつか表に出るのでしょうか。水脈は地表に出ないからこそ持てる価値もある、としてこのまま進むのでしょうか。
先が気になりつつも、好きな散歩道に足が逸れるように、もう一度読み返してしまう、そんな小説です。