第56話 まったく、小学生は恐ろしい
今は正月……と言っても、もう8日になるのだが。
年末は冬コミ、年始は新年の挨拶と、目まぐるしいスケジュールで動いていた僕と愛莉が、ようやく休みらしい休みを取れたのは正月から一週間くらい経とうとしていた頃だった。
久しぶりに二人の時間が出来た僕達は、夜までイチャイチャしていたのだが、流石に連日ともなると別の刺激が欲しくなる。
それは僕だけではなく、他の人も同じだったみたいで気がつけば朝武邸にはいつものロリ三人とロリコン三人が集まっていた。
それぞれがロリと遊んでいたため、ロリだけで戯れる時間も大切と判断し、今は福笑いを楽しんでいるロリを三人で暖かい目で眺めていた。
「いやぁ、それにしてもお正月って意外とやることないよねぇ……」
そう言ってぐでーっと机に突っ伏す柿本。大きな膨らみが机に押し潰されてなんともけしからん。
「それは俺も同感だ。奈穂と毎日のようにエロゲ……イチャイチャしていたけど流石に新しい刺激が欲しくなってきた」
「星川君、女子小学生とエロゲーだなんていいご身分なことで〜」
「んー、僕的にはそうでもないと思うけどなぁ?」
「……どうして湊君が答えるのさ」
「……いや、想像だけど僕なら純粋無垢なロリのハートがふしだらな色に染まっていくと考えたらってね」
「自分好みに開発したいのか拓海は……」
そう言って充は引き気味に苦笑いを浮かべる。
「そうは言ってないだろ、愛莉には伸び伸びとありのままで、出来ればそのままの姿で成長して欲しいのだけさ」
「湊君、完全に私欲が混ざっていたよね」
今度は柿本までもが呆れたように苦笑する。
「気にしたら負けだよ柿本」
「しかし俺達も落ちたもんだよなぁ……」
「と、言いますと?」
「昔の俺達なら『一日中? はん、俺なら一年中ロリを愛でていても飽きないね!』とか言ってそうなのに、今じゃたかが一週間程度でこのザマだ」
「んー、私としてはそう思っていたことに驚きかなー。私なんて毎日紗々ちゃんとあんなことやこんなこと……女の子同士でしか出来ないことを色々楽しんでおりますよぐへへ……」
完全に妄想の中に入り込んでしまっているのか、柿本はこれ以上になくだらしない顔をしていた。
「……柿本、よだれ垂れてるぞ」
「おっといけない。でも逆に私じゃ出来ないことだってあるし、それをやればいいと思ったんだけど」
「例えば?」と、尋ねる僕に対し、
「えっちなことか?」と間髪入れずに尋ねる充。
「いやぁえっちなことは女の子同士でも出来なくは無いし」
「「──ッ!!?」」
その発言に思わず目を大きく見開いてしまう。
女の子同士の、えっちなこと……。
さっき柿本は紗々ちゃんと色々楽しんでいると言っていた。つまり柿本は三人の中で一番の元気っ娘な紗々ちゃんと桃色空間を作り出していたのか!
「ふふっ、今夜は寝かさないよ紗々ちゃん♡」
「やんっ明音ねぇ……ダメだよ、ボクたち女の子同士だよ……?」
「大丈夫、お姉さんが女の子同士でもできるイイことを教えてあ・げ・る♡」
「明音おねえさま……」
見つめ合う二人、互いに瞳を閉じそのまま二人の距離はどんどんと近づいて!!?
「──って人のことを勝手に妄想しないでいただけますかー?」
「はっ!?」
その言葉で現実へと引き戻される。
「確かにえっちなことは出来なくはないとは言ったけど、私も湊君や星川君と同じく健全なお付き合いをしてますー」
「なるほど、健全なお付き合い……なるほど……ん?」
今納得しかけたが聞き逃せない単語があったように思えるぞ?
それに充を気がついたのか追求する。
「いや待て柿本、お前いつから紗々ちゃんとお付き合いしてたんだ?」
「ん? 言ってなかったっけ?」
「少なくとも僕達は初耳だと思う」
「あー、そっか。まぁ別に二人だから言っちゃうけど年明けた時にね。つい良いムードになっちゃって、てへっ」
可愛らしくちょこんと舌を出す。
年明けはみんな別々の場所にいた。僕は東京、充は北海道、柿本は大阪だ。
なのでそれぞれが年明けから何をしていたのかは知らなかったが……。
「まさかそんなことになっていたとはなぁ……。流石の僕も驚きだよ」
「えへへ、二人だけってのはズルいからね」
「なんにせよこれで三人仲良くロリと結ばれたわけだ。……まぁ一人だけ次のステップに進んでいるやつもいるが」
「別にいいだろ。そもそもあれは正式……というか僕なりのケジメとしてやっただけで、結婚の話は最初からあったんだよ」
「マジかっ!?」「本当にっ!?」
「う、うん……」
ぐいっと詰め寄ってくる二人に思わず身を引いてしまう。
「くぅー、なんだよちきしょう。なら拓海は最初から俺達のはるか先を行っていたってことか!」
「そりゃ余裕も出ますわな……。私達じゃ届かない場所に行っちまったんだね湊君」
「落ち着けよ二人とも……。というより婚約云々の話をするなら充の告白の時だって、あれは完全にプロポーズだろ」
「おいバカその話はするなぁ!!」
「あっ、そういえば星川君が告白した時のことを詳しく教えてもらってないんだった!」
「ほら拓海が余計なことを言うから!」
「あはは、めんごめんご」
「謝罪の気持ちがこもってないだろ!?」
「いやー僕は口が固いから大丈夫だよー」
「絶対に言うなよ? 絶対にだからな!?」
なんて念を押す充。
僕はある事を確認してから、満面の笑みを浮かべながら親指を立てる。
それを充は了承と受け取ったのか、安堵のため息を漏らすが……。
「──俺、星川充は、天海奈穂さんの事が好きです、大好きです」
「……えっ?」
背後から聞こえる声に充は動揺を隠せないでいた。
ちなみに充は勘違いをしていたようだが、僕が合図を出したのは充ではなくその後ろでこの話を聞いていた奈穂ちゃんだ。
口パクで「良かったら、私がお話しましょうか?」と聞いてきたので、僕は親指を立てたまでだ。
流石の充もこれは予想出来なかったらしく、驚きと恥ずかしさで口をパクパクさせたまま固まっている。
が、奈穂ちゃんは本当に良くできた子で、そんな充を気にせずにあの時の告白を続ける。
「それでですね、俺はまだまだ未熟だけど、それでも君の隣にいたい。これからも何年先も、変わらない笑顔を浮かべる君の隣に俺の姿があってほしい。と」
「いや、あの、奈穂、さん?」
「天海奈穂さん、俺と付き合ってください……と。あの時のことは私が生きてきたと言ってもまだ十年ちょっとですが、それでも最高に輝いていた瞬間なので一言一句忘れてなんかいませんよ♪」
と、真夏の太陽にも引けを取らないほどの眩しい笑みを浮かべる。
あっ、これは充は勝てないやつだと確信をする。
数秒後にはそれを裏付けるかのように充が半泣きのまま奈穂ちゃんに抱きついていた。
その様子を見ていた柿本がそっと耳打ちをしてくる。
「……ねぇ湊君、前から思ってたんだけど星川君って絶対に尻に敷かれるタイプだよね?」
「……言うな柿本。多分それはアイツが一番よく分かってる」
なんてことを言っているが、実際僕も同じようなところがある。
例えば愛莉に無茶振りをされたとして、語尾に「お願い♡」と付けられただけでなんでもやれてしまうそうだ。……いや、流石になんでもはしないけど。
そんなことを考えていると、いつの間にか愛莉が隣に立ってこちらを見つめていた。
僕は自分の膝をぽんぽんと叩き、
「愛莉、良かったらここに座る?」
と、冗談交じりに尋ねる。
いつもであればここで恥ずかしがるのだが、今日はどうやら違うらしい。
「ではお言葉に甘えて……よいしょっと。ふふっ、拓海さんの膝の上に乗っかっちゃいました」
わざわざ座ったまま顔をこちらに向けて素晴らしい笑みを見せてくれる愛莉。
……おかしい、なにかがおかしいぞ。
そう感じた僕はすぐさま確認を取る。
「愛優さん」
「はい?」
誰に確認を取るかなんてわかりきっている。
その人物は思った通りこの部屋にいなかったはずなのに呼んだら直ぐに現れた。
「愛莉、というよりみんなに何かした?」
「ま《・》だ《・》なにもしておりません」
「そうか、まだなにもしてないか。ならそのまま何もせずにしていてね」
「……うっ、湊様は鬼でございます。こっそりこれから用意するココアの中に子供用のブランデをちょこっと入れるくらい良いじゃないですかぁ」
「みんなお酒に極端に弱いんだからダメですよ……」
それで何回僕達が被害に遭ったことか。
気がつけば僕と同じように紗々ちゃんをを膝の上に乗せている柿本もうんうんと頷いていた。
「ところで愛優さんは今まで何をしてたの?」
こうしてみんなで遊んでいる間、キッチンに篭っていた気がしたので聞いてみる。
すると愛優さんは待ってましたと言わんばかりに怪しげな笑みを浮かべる。
「私はとある準備をしていたのです」
「……準備?」
「はい、その準備とはそう! ひめはじめ!!」
『──ッ!!?!?』
その瞬間、僕達の間に雷が落ちたような衝撃が走った!
念の為に説明しよう!
姫はじめとは年始最初の男女の交わる行為のことを言うのだ。
まぁ噛み砕いて説明するとその年初めての性交。
もちろんその意味を知っていたのか、奈穂ちゃんは顔を真っ赤にして慌てふためいていた。
「み、みみみみ愛優しゃん! なんてことを言うんですかっ!」
ちなみに知識は広く浅く持っている僕達は姫はじめがソレのことを指すのは知っている。が、この人の事だ、流石にもう慣れていた。
……そう、思っていたのだが。
次の瞬間、予想外のところから予想外の言葉が飛び出した。
「ひめはじめ……いいですね! 私も拓海さんとやりたいです♪」と、僕の膝から降りて目を輝かせながら僕を見る愛莉。
「ボクも凄く楽しみ! ボクあれ好きなんだ!」と、紗々ちゃんはそう答えた。
これには柿本も驚きのあまり思考回路が停止してしまう。
「あ、愛莉さんに紗々さんなんのことだかわかって言ってるんですか!?」
「わかってるもなにもひめはじめって乗るものですよね?」
「え、食べるものじゃないの?」
「乗る!? 食べる!? いけませんいけません! そんないきなりそれは……うぅ、お二人とも意外と大胆なんですね……」
結果、普段ツッコミ役に回ることの無い奈穂ちゃんがツッコミ役に回っていた。
ちなみに僕と充は別にそこまで取り乱してはいない。むしろあぁなるほど、と納得していた。
ここでもう一つ説明をしておくと、柿本や奈穂ちゃんが思っているひめはじめと愛莉が言っているひめはじめ、紗々ちゃんが言っているひめはじめは全部意味が違う。
柿本と奈穂ちゃんのは割愛するとして、愛莉が思っているのは飛馬始め。
わかりやすく言うと馬を乗り始めることを言う。
紗々ちゃんのは姫はじめ、書き方は同じだが意味としては釜で柔らかく炊いたご飯を食べることを言う。
まぁ紗々ちゃんの方は既に何回かご飯を食べてしまっているので果たしてそれがひめはじめとして成立するのかは別として。
とまぁ今はこの三つのひめはじめが上手い具合にこんがらがっているのだ。
反応からすると、それぞれ一つの意味しか知らないらしい。
「えへへ、去年はたくましいのに乗れたので今年も拓海さんとえへへ♪」
乗馬した時のことを思い返しているのか、何故か頬を染める愛莉。
「なぁ拓海」
「ん?」
「お前いつの間にやったんだ?」
「あー、確か去年の十月頃だったっけ? いきなり愛莉に騎乗位を求められて──」
「なにぃ!?」
「いや落ち着けって……。それで話を聞いたら騎乗、馬に乗ることだってわかってそれでちょっとね」
「お前なんだかんだで愛莉ちゃんと色んなとこに行ってるのな」
「まぁ大体は愛優さんの入れ知恵だったりするけどね」
「なるほどな。ところで拓海さんよ」
「なんだい充さん」
「俺の彼女が未だに一緒にお風呂に入ってくれない件。俺はただ奈穂にその膨らみかけの胸を使って背中を洗って欲しいだけなのに」
「一度その欲望を捨ててみてはいかがかな?」
「……そんな悲しい人を見る目で俺を見つめるなよ、冗談だよ」
などと言ってはいるが、僕にはわかる。さっきの目は本気のやつだと。
まぁ充のことだから奈穂ちゃんが嫌だと言えば無理強いはしないとは思うけど。
なんと言っても僕たち
……いやならばそろそろ助けなければいけないよな。
未だにイマイチ噛み合っていない会話に終止符を打たねば。
僕は立ち上がり、きょとんとしている愛莉と紗々ちゃん、あわあわと焦っている奈穂ちゃんの間に割り込む。
「あー、ちょっといいかな?」
「「「???」」」
「ひめはじめのことについてなんだけど……」
「湊さん! 愛莉さんとしたって本当なんですかっ!?」
「ステイステイ、そのことについても言うから。一旦落ち着こう、ね?」
「は、はい。すみません」
そう言って椅子に座る奈穂ちゃん。やはり聞き分けがいいから本当に助かる。
僕はコホンと一つ咳払いをして説明を始める。
「えー、まずひめはじめなんだけど意味はいくつかあるんだよ。ひとつはまぁ奈穂ちゃんが思ってるもの。紗々ちゃんが思ってるのは同じ書き方だけど、年始に食べる、まぁご飯と思ってくれればいいかな。それで愛莉が思ってるのは飛馬始め……つまり馬に乗ることなんだよ」
一通りの説明を終えると、ロリ達は納得したように頷く。
とはいえ彼女達は彼女たちもいつまでも子供ではない。
「拓海さん、その奈穂さんが思っているのってなんですか?」
「あっ、ボクもそれ気になる!」
「えーーーっとぉ……」
知的探究心は大変素晴らしいものであるが、ここでは抑えて欲しかったと切に願う。
助け舟を求めて充や柿本の方へと視線を移すものの、充はさっきの仕返しのつもりか下手な口笛を吹いているし柿本に至っては未だに固まったままだ。
(くそっ! こんな時に限ってどいつもこいつも使える人がいない!)
このままだと視界の隅で「私にお任せ下さい」とアピールしてくるド変態メイドに委ねるしかないじゃないか!
……いや、待てよ。メイドならもう一人いるじゃないか!
僕はスマホを取り出しもう一人のメイド……紗奈さんに電話をかける。
流石といったところか、ワンコールで繋がる。
「もしもし紗奈さん?」
「はい、なんですか湊センセ?」
「紗奈さんってひめはじめって知ってますか?」
「ひめはじめってどのひめはじめですか?」
「あなたのお姉さんが好きそうなほうです」
「あー、把握しました」
「…………」
え、それで通じちゃうの?
いくら妹だからといってそれで通じてしまうのはどうなんだ……。
なんだか一瞬だけ愛優さんのことが可愛そうに思えたが、まあたぶん気のせいだろう。
「それでその姫始めがどうしたんですか?」
「実は色々あって愛莉たちにそれの説明を~と言われたんだけど……」
「なるほど、それでよい説明が思いつかず、かと言って姉さんに頼むのも心配だからわたしに来たわけですね」
「あはは、まあそんなところかな」
「しかし久しぶりにセンセから連絡があったと思えば難しい問題を投げられたねぇ」
「これに関してはなんと言ったらいいか……」
「まあわたしに任せてください!」
「お願いしますっ!」
こうして紗奈さんによる説明会が行われた。
内容はとてもシンプルに「その年で始めて行う子作りですよ」と。
いくらこういったことに鈍感な愛莉や紗々ちゃんもそれが何を指すのか理解してしまったらしく、みるみるうちに顔が赤くなっていく。
「み、愛優しゃんっ!」
「なんでしょうか愛莉様?」
「そ、そのですねっ! 私も拓海さんとの子供は沢山欲しいですが……まだ私には早すぎますよぅ」
そんなことを耳まで真っ赤にして言う愛莉。
「だとさ拓海、大変だな」
「湊君、頑張らなきゃね〜」
わざわざ隣に来てニヤニヤしながら肘でつついてくる充と柿本。
「お前ら他人事だと思って……」
「そりゃ私たちからしたら他人事だし」
「俺からしたら他人事じゃないけど……。ま、それでもだよ」
「愛莉様がお母さんになるのは私としてはとてもありがたいことなんですけどね」
「……ナチュラルに入ってこないでください。それにそういうのは正式に結婚してからですよ」
「では湊様は愛莉様の母性に触れてみたくは無いのですか?」
「愛莉の母性……」
小学生の母性。小学生のママ。
愛莉が膝枕をしながら愛情たっぷりの笑みを浮かべながら「よしよし、私がママですよ〜♪」なんて言われたら……。
例えば小説とかを書き終え疲れているとき、頭を撫でながら「よく頑張りましたね、拓海さんはえらいですね〜♪」とか。
今の時点であまり変わらない気がしなくもないが、これはこれでアリだ!
隣の二人も同じように自分の恋人で想像したのか、何度も頷いていた。
「ふふっ、みなさま良い感じに想像出来たようですね」
「愛優さん、悔しいけどアリだよそれは……」
「あぁ、完璧だな」
「……うん」
「えっと拓海さんは私にママになってほしいんですか?」
「お前がママになるんだよってやつか」
「僕はまだパパになるつもりはないよ……」
「そうだよ、湊君はパパじゃなくて赤ちゃんになるんだよ」
「拓海さんが赤ちゃん……。そうなると私はママですよ〜と言った方が良いですか?」
「てことは湊君がママ愛莉ちゃんにおっぱいをおねだりしたり……?」
「くそー!! 拓海ばかり羨ましいぞぉ!!!」
「ふえぇ!? わ、私まだおっぱいなんて出ませんよぅ……」
言いながら愛莉は自分のなだらかな胸に触れる。
ついその仕草に目を奪われる。
なるほど、赤ちゃんプレイにはそういった利点があるのか……いやいや! それはおかしいだろ!
と、一人心の中でボケとツッコミをしているとここぞとばかりに愛優さんがそっと耳打ちをする。
「……もしかして湊様、本当に欲しいんですか?」
「ばっ、そ、そんなことぉ、あるわけ、ない、ですし?」
「その割には声が震えてますが」
「確かに一瞬だけなるほどって納得しかけたけど……」
「けど?」
「僕にはその神の領域をねだる勇気がないッ!!」
「湊様、簡単なことですただ一言『愛莉ママ、おっぱいー』と言うだけでいいのです」
「それあなたが言うのは簡単かもしれないけど僕が言うにはかなりハードル高いですからね!?」
と、その時になってようやく愛莉が僕に熱い視線を送っているのに気がつく。
物凄く嫌な予感しかしないけれど、無視するわけにもいかないので、一応どうしたのかと聞いてみるが、
「拓海さんは私のおっぱいじゃ、嫌ですか?」
「いや愛莉の場合はおっぱいというよりちっぱ……いや、今はそんなことはどうでもよくて。別に愛莉のが嫌というわけじゃないけどさ……」
僕だってそうやって甘えてみたいが、流石に他に人がいる時にやるのは精神的に来るものがありそうだ。
そんなこともあり、出来れば二人きりの時に……とアイコンタクトを送ってみる。
しかし上手く伝わらなかったらしく、うるうると瞳を潤わせながら僕に抱きつき、上目遣いで見つめてくる。
「拓海さん、やってくれないのですか?」
「その言い方はないよぉ!」
最初は天然でやってたんだろうけど、最近はなんだかこれをやれば僕は落ちると理解してきたのかってレベルで使われる気がする。
いやまぁ可愛いから許しちゃうんだけど!!
……やっぱり僕も甘いよなぁ。
流石にいつも一緒にいれば僕が顔に出さずとも渋々でありながらも承諾したのが伝わったらしい。
もう、なるようになってしまえと僕は覚悟を決める。
チラリと横目でみんなを見る。
ある親友達は敬礼をし、あるロリ達は興味津々に見つめ、ある変態はビデオカメラ片手に「よくやった」とサムズアップしていた。
「拓海さん、さぁ存分に甘えてください♪」
まるで本当のお母さんのような慈愛に満ちた笑みを浮かべながら両手を広げる。
僕は小さい子供のような気持ちで愛莉の胸元へ飛び込む。
大きさは無いものの、柔らかくてお日様のような暖かい香りに包まれる。
「わぁい、愛莉ママ大好き〜」
「もぅ、甘えん坊さんですねっ♪」
ぎゅっ、と抱きしめられながら頭を優しく撫でられる。
あっ、これはダメだ。
そう思った時には既に遅く、僕は簡単に愛莉ママの手によって堕ちてしまう。
……その後のことはよく覚えていない。
なんだか愛莉におっぱいをおねだりしたり、抱擁してもらったり、甘えるついでに胸に顔を埋めたりと色々してしまった気がするが記憶にないのだ。
しかし記憶に無くとも優秀なメイドにより記録は残っていた。なので僕はもう一人の優秀なメイドに頼み、記録諸共すべて消し去った。
……まったく、小学生は恐ろしいぜ。
ロリと恋人になったら世界が変わった 空恋 幼香 @sora_1204
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