エピローグ

 ―エピローグー


 離れの屋敷に到着したイェスタを出迎えたのは、すでに旅装を整えたルイーズであった。


 元々、狩猟者ハンターを目指していたため、簡素な旅装もバッチリと決まっている完璧な状態である。


「ルイーズ……」


「準備は出来ています。イェスタは私を迎えに来てくれたのよね? そう思って間違いないのよね?」


 バッチリと旅装を決めて、すでに家を出る準備をしていたルイーズの眼は不安に彩られていた。


 自分の浅はかな行動が、イェスタやその仲間に対し、散々、迷惑をかけてしまったことを自覚しているため、自分を受け止めてくれないのではないかとの思いが胸を締め付けていたのだ。


「お前の気持ちは知ってた。長く、本当に長く待たせた。あ、その前に実は、マルセロからの伝言が――」


「イェスタの馬鹿――」


 自分の気持ちを抑えられなくなったルイーズは、続きを喋ろうとするイェスタの唇に指を当てたかと思うと、自分からイェスタの唇にキスを重ねていった。


 すべてを認め、委ねる誓いのキス――


 やがて、キスを終えたルイーズが離れると、自らの行った行為に耐えられず赤面してモジモジし始めていた。


「不意打ちされるとは、俺も焼きが回ったかな。でも、俺もやられっぱなしじゃ嫌なんでな。ルイーズ、俺と一緒に来てくれるか?」


「そ、そんなのさっきのが答えになってるでしょ」


「じゃあ、もう一回やり直しだ」


 そういったイェスタが、俯いていたルイーズの顔を上向かせ、先程のお返しとばかりにキスをしていく。


 その二人の様子を見ていたメンバーたちは、それぞれに無言で視線を逸らしていった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

Hunter’s Honor ~元凄腕エースのおっさんが追放され、弱小ポンコツ猟団と起こす奇跡~ シンギョウ ガク @koura1979

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ