第17話「ロッド♂」とジャラザン
館の周りをランニングするロッド、その後素振りをしてストレッチをして部屋に戻った。
「湯浴みされますか?」
ルナが聞いてきた
「いや、クリーンの魔法で済ますよ、すぐ出発する・・・ギンバレットは?」
「王都の本社の方に他の者と、もう到着してるとセバスから連絡が来ております」
「そうか?早いな」
「ロッド様の招集です張り切って3時間前に来ていたみたいです」
「・・・・はぁ?・・・何か軽く食べれる物もって行くか」
「そうですね、何も食べてないと思いますよ、ま、それでどうこうなる者たちではないですが」
「そうだが・・・」
「ご両親は、先ほど結界の上空を竜が飛んでいったのを見て飛び出して行かれました。
「・・・・・はぁ・・・竜の肉食べ損ねるな・・・・」
「お早いお戻りをお待ちしております」
「フロライン殿、居場所はルナが把握しているので、留守番お願いしますね」
「ぶすぅ・・・私も連れて行ってもらえないのか!?」
「シャラザンですからね、大事な(王家の人間)を危険な所に連れてはいけません、体も安定するまでもうしばらくかかりますから、シャラザン以外なら今度お連れしますよ」
「大事・・・・分った」
(なんか可愛いな~性格も変わったのか?)
「フロライン」
思わず頬を触って見つめてしまった
真っ赤いなるフロライン
「このままベットへ」
手を握り返して真っ赤になりながら言うフロライン
「でっ殿下、その顔でそれは幻滅です」
「何時でもいいのに・・・」
「はぁー・・・とりあえず行ってきます」
「早く帰ってきてくださいね」
そう笑顔を向けるフロライン
「本当にもう」
そう言ってフロラインを軽くハグして離れて王都に転移した
フロラインが真っ赤になって固まってしばらく動かなかったことは知らなかった
王都の本社に転移すると、ギンバレット達、
「ボス、やつらが現在潜伏している所はここです」
地図を広げて斥候の男が殆どが砂漠のジャラザンにある少ない森林の一角を指差した
数か月後、ジャラザンの王宮にロッドは居た
「これで砂漠はおぬしのものだ」
そう言ったのは王だった
「国土の1/3の売却確かに、これで借金は無くなりました」
書類を空間収納にしまうとロッドは用は無いと言わんばかりにさっさと出て行こうとした
「ロッドどの、ゆっくりしていかんか、しかしあんな何も無い砂漠を購入してどうしようというのだ」
「世の中に価値の無い物なんて無いんですよ、いろいろ使い道はあります」
「借金がなくなるのならあんな土地要らんがな、まあこれからもよろしく頼む」
「・・・・・それでは失礼します」
サンセット商会に対する借金は国家予算並みに膨れ上がっていたジャラザンは不毛な使い道の無い砂漠を借金の
しばらくしてジャラザンからサンセット商会は全面的に引き上げていったのだった。
市場を殆どサンセット商会に頼っていたジャラザンはその後衰退していった。
砂漠の真ん中にかすかな水源があった、ジャラザンの都市部から圧政に耐えかね、命からがら逃げてきた人々が細々と住んでいた、その水源ももう涸れかけている
「おとうさん、ハサンはもう帰ってこないの」
「リドル、新しい水源を求めて家族で出て行ったよ、私らも明日ここを出る、辛いだろうが頑張ろうな」
「うん」
残り少ない水をすするように飲む12歳位の少年、頬はこけあばら骨が見えている、父と呼ばれた男も同様だった、男の子の横には浅い息をしながら母親が横になっている
「貴方、私を見捨てて町に戻って・・・・私さえいなければ町に住めるわ」
「何を言うんだ、たとえ命が尽きようとも一緒に居るよ、リリィ」
「うん、そうだよおかあさん」
「「愛してるよ」」
家族は眠った、明日の過酷な砂漠越えに備えて
「んっおかあさん」
リドルが目を覚ました、そばに両親は居ない、ぞくっと恐怖が押し寄せた
だが、それと平行して空気がおかしい事に気がついた
「空気に湿気がある、体が軽い」
小屋ともいえない貧相な家を飛び出して外に出た、砂ソリに引越しの荷物が積んだままなのが見えた
見捨てられたのかと、一瞬不安だったがほっと胸を撫で下ろした
「まだ出発していなかった・・・何処いったんだろう」
小屋は砂山の低い所にある、水源を求めて掘り進んでいったので低くなっていったのだ
「おかしい、空気が・・・涼しい」
砂を上るそしてリドルが見た光景は・・・そこに広がる・・・・草原
「なっなんだこれは」
「おーいリドル~」
草原の向こうから両親が歩いて帰ってきた、母は両手いっぱいに緑のものを抱えている父親は桶を担いでいた
「魔物よけはソリに積んだままだったよ、大丈夫だったの」
「ええ、魔物は居ないのよ、水と豆を見つけたので朝ごはん作るわね」
昨日と違って顔色がずいぶんと良い母親を見て唖然としているリドル、手には豆の生った枝を抱えている母親だった
たっぷりの水で煮た豆のスープは何よりも美味しかったリドルはさっきまで無かった小屋の周りのツタを眺めて
「これは魔法なのかな・・・」
「そうだ、ここから半日歩いた所に新たに国が出来たんだそうだ、アメリア皇国の大魔法使いが関わっているそうだよ」
「国?ジャラザンじゃぁないの此処は」
「土地を手放したそうだよ、探索中に会った行商人の男が言っていた、移民を募っているから来るといいって」
「新たな国の王は現ジャラザンの王の弟、ギャナザン様だそうよ、アメリア皇国に亡命されてたのだそうだ」
「弟・・・ジャラザンと一緒なんじゃぁ」
「ギャナザン様は民思いで、次期王は彼だと思われていた、だけど先の王が暗殺されて長男の現王が無理やり王になった、それから圧制が始まったんだ・・・暗殺されたと思ってたギャナザン様が生きていた、きっと良い国になる、さあ出発しよう」
家族は砂ソリを引いて新しい国に向けて歩き出した
ジャラザンの王宮
ガシャン、侍従に銀のカップを投げつける王
「闇ギルドの連中は何処へ行ったんだ!サンセット商会の女社長の暗殺はどうなっているんだ」
「申し訳ありませんどのアジトにも誰もおりませんでした、連絡魔法具にも反応がありません」
「くそっあの女、女のくせにくそくそくそっ」
「大変です」
大慌てで兵士らしき男が駆け込んで来た
「南の砂漠地帯に新たな国が出来ました、王の名前はギャナザン様だそうです」
「な・なんだと・・・・どういううことだ‥‥南の砂漠・・・・サンセット商会・・・・う・うあぁああ~」
殆ど一晩で現れた巨大な都市
砂漠だった所は林と草原に変わっていた
【ドラムザニ王国】
独裁国家ではあるが、アメリア皇国とサンセット商会の援助の元独立したジャラザンの分裂国家だ
周辺国の承認はしっかり前もってとってあった
「この規模の都市を1年で作り上げたとはさすがですねロッド様」
「草原の開発遅れさせてすみませんでした、この規模の都市建設にちょうどあの場所が良かったので」
サンセット商会副社長のロッドとアメリア皇国の第一王子が新生王国のの入場門の前で街を大きく囲う壁を眺めて言った
草原の
移民も募り5万人集まった時点でジャラザンに砂漠を売らせて土地を確保、
浄化と再生の魔法で砂漠を一気に緑化した後、都市をその中央に移転、住民も転移させたのだった
さらに移民を募っている最中だった
「ハサン」
「リドル」
門の前で子供が再会を喜んでいる姿が見えた
ジャラザンは国民の反乱によって事実上滅んだ、その後新たな国は立ったが繁栄することは無かった
ロッドは復讐を果たしたのだった
アジトの森の中のぼろぼろの倉庫の中の壊れそうな椅子に、偉そうに座る暗殺者集団の頭領がいた
「ギンバレット・・・本当にお前ギンバレットか・・・」
「久しぶりですね相変わらずひどい顔だ、性悪が顔に出てますよ」
そこにギンバレットが入ってきた
「・・・・入れ墨は・・・傷は・・・綺麗に」
「女神様に消していただきました、新たな生きがいも与えていただきました、私を恨んでいるのに」
「サンセット商会の女社長か・・・お前だまされてるんじゃないか・・・戻ってこいお前は日の当たるところに居る奴じゃないだろう」
「あんたが決めることじゃないだろ」
ギンバレットの後ろからロッドが姿を現した
「お前は副社長・・・ははっお前を人質にあの女を・・・」
「どの女のことかしら」
ロッドからあかねに変わる
「なっ・・・・」
「いいんですが、こいつらにばらして」
「死者にばれても関係ないじゃない?・・・あなたは手を出しちゃだめよ」
「はい・・でも」
「これは私の私怨だから」
あかねは力を一気に開放した、光に包まれ羽のような魔力の光
「・・・女神・・・」
頭領がそうつぶやいた気がした
光が周囲を包む、頭領とその周りにいた暗殺者達が消えていく
光が収まるとギンバレットとあかねを残しクレーターが出来ていた・・・皆消えていた
「貴方の恩人、悪党だけど恩人を殺したわ、これがあなたに対しての復讐よ」
「・・・・あれでも昔は仲間思いだったんですよ・・・」
二人は商会に帰って行った
悪役令嬢は終わりから始まる~記憶戻るの遅いよ~ 朋 美緒(とも みお) @mio2778
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