いきなりの自分語りで恐縮ですが、
メンタリズム的振る舞い、
自分の仕事に活かせるよなぁ、
そう常々感じています。
要は接客業ってことなんですけどね。
そんな自分が冒頭でいきなり、
見事に操作されました。
「八割の人間が操作される」
問である、との事ですが、
ここで「残り二割であること」
に喜ぶのも、
またメンタリストの掌中である、
そう物語は語ります。
自分でない他人を操る。
思ったように動かないあの人を
思ったように動かす。
多分、人と関わる人なら、
永遠の願望でしょう。
この作品は、物語ですから、
どうしても因果応報的に
展開を寄せざるを得ません。
それはそれで事実だと思います。
激烈な幸福を志す人間は、
激烈な不幸を味わう覚悟か
求められるのでしょう。
ただ、この物語を読んでいても、
痛烈に感じられることがある。
結局、他人を理解できなきゃ、
他人は操れません。
物語が進むにあたって、
その辺りの要素が、
だいぶ上級者向けになっていきます。
っが、俺のように
「他人を意のままに見抜きたい!」
的スケベ心でこの物語を覗く方には、
予め申し上げておきます。
他人に寄り添えないやつは、
他人を操れやしないよ。
良くも悪くも、ここが真理なのです。
何故、そうなのか?
では、最後までこの物語を読んでください。
他人は、鏡合わせの自分です。
心理学をテーマにしたヒューマンミステリー。
〇〇学、などと聞くと「堅苦しい」「小難しい」と言うようなイメージを持つ方も多いのではないだろうか?
しかし、メンタリスト松岡拓海の一人称視点で語られるこの作品、全くそんなことはない。
拓海の目的は「女性を口説いて相手から告白させる事」。
その目的の為に、心理学を用いた巧みな話術で女性の警戒心を解き、心を開かせ、自分へ好意を持つように誘導していく。
女性を口説くのに小難しい単語を並べるわけにはいかないだろう。作品も、誰にでも解りやすい、非常に平易でテンポの良い語り口で綴られて行く。
まるで読み手も、拓海の用意したボートに乗せられ、心理学の海にふんわりと漕ぎ出されて行くかのような心地良さを感じる。
ビターエンドの、少し大人っぽい恋愛模様も楽しみつつ、且つ、心理学の読み物としても充実した内容。
これを手に取れば、あなたもきっと、メンタリスト松岡拓海に口説かれてしまうことだろう。