私が愛し続けている貴方へ
吹き抜ける風がなんとも心地よく感じる今日このごろ、いかがお過ごしでしょうか。
私は幸せな日々を送っています。
そういえば面と向かって伝え忘れていました。手紙、ありがとうね。今は亡き最愛の貴方から貰った最後の手紙、大事にしてます。
そうそう、あの手紙にあった机の話!
一番上の引き出し、あれなんなの?!君の通帳とへそくりが出てきたんだけど?しかも通帳の中見て驚いたけど…あれ学生の頃から貯めてたお金じゃん。私そんな大事なお金なんていりません。
二番目の引き出し、あの写真はお見合いなんかに使ってません。使う必要もなかったよ。結婚したもん。祝って(笑)
そして三番目の引き出し。あれさ、私約束破った(笑)
あんな素敵なプレゼントを捨てろだなんて、酷い男だねぇ。
でも、私ああいうプロポーズの仕方は良くないと思うぞ?
貴方がくれた指輪は今私の左手に。返品なんてしてやんないから。覚悟しなさい。
それでね、私結婚したって言ったでしょう?相手、知りたくない?
なんと!
ななななんと!
貴方の両親にお願いしてね、貴方が亡くなった手続きをする直前に婚姻届けを出しました。めでたく貴方とゴールイン!!いぇーい!幸せだっ!
え、怒る?まぁそれでもいいさ。
だって約束守ってるもん。良い男と結婚したし、なんなら子供まで!
…あ、そうだ、病気だった貴方に余計な心配かけたくなくて黙ってたけど、貴方との間に子供できてたよ。嬉しいことだ。今年の秋の予定だよ。
心配しなくていいよ、子供の養育費は君の口座から抜いておくから(笑)
…と、まぁこんな結果になったこと、怒らないでください。これが私にとっての一番の幸せへの近道なんだから。
余計な心配なんかしてないで、天国で私(と子供)の幸せだけを祈ってなさい!
私は強い女だよ、見くびるな!
強くなるんだ。
強く生きるって決めたんだ。
泣くのは君の前だけ。
でも君はきっとお墓の前になんか来てくれないと思うから、君と歩いたあの桜の木の下だけにします。
ちょっと本音言ってもいい?
本当は、
本当は…、
すごく寂しいし、一人で生きていく自信もない。
でも貴方が最後にくれた幸せを背負って世界一幸せな女にならなきゃいけない。
世界一幸せな家族にならなきゃいけない。
だから私は強くなるよ。
そういえばあの質問に答えてなかったね。
私の爪はまだ青いよ。君と見た海の色だ。
…今までで一番の遠距離恋愛になっちゃったね(笑)きっと不安や迷いは消えてくれないだろうと思います。でも貴方との幸せを願って強く生きていきます。
貴方と私の春はきっとまだ青いはず。
貴方と幸せに生きることを誓います。
世界一幸せな家族になると夢見て、
敬具
春はまだ青いか 東雲 彼方 @Kanata-S317
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます