僕の日常おおおおおおおおおおおおおおおお!!
獅子岡さん
風がびゅーびゅー吹きやがる
今日は風が強かった。とにかく激しかった。正直、死ぬかと思った。
というのも、僕は自転車で通勤しているのだが、自転車とは風に弱い子なのだ。ちょっと風が吹けば元気をなくしてしまうような、かわいい僕の相棒だ。
それなのに今日は西川貴教さんのPVかと見まがうがごとくの風がびゅーびゅー吹きやがるのだ。どれくらいすごいかと言うと、とりあえず前は見えない。見たものなら即砂埃が目に侵入し、僕の脳髄をむしゃぶりつくすのだ。
思わずテンションが上がってしまった。道端の空き缶だって万歳突撃をしながら道路の真ん中を闊歩している。僕もそれを見て、くそう負けるか、とケイデンスを上げまくる。どうだい、このこぎっぷりは! まるで台風のようじゃないか。
逆説的に考えて、僕は強い風に勝っているのだ。
つよいぞ僕。やれるな僕。
そんなふうに自分のテンションまで上げていく。
頑張ったけど、体力がすぐ尽きてしまった。しかも、ボロボロになった僕に対して、追い風のような追撃がやってくる。口の中にまで砂埃が侵入してきたのだ。
ふざけやがって、お前は向かい風だろうに。
そんなこんなで心身ともに疲労した僕。仕事が終わってからのパンチだから結構くるものがある。
しかも、通勤ルートの道は非常に狭く、さらに路面の凹凸がなかなかに激しい。そんな悪環境のなかは暴風でハンドルももっていかれてしまう。
正直に言うと、地球に毒づきながら走った。
そりゃあもう、地球に感情があるならば、うつ病にさせてしまうぐらいの暴言っぷりだった。嵐の中でファックファック言いながら走ってるやつがいれば、たぶん僕です。ごめんなさい地球。
けれども、暴風は悪いことばかりではないと思った。なぜなら疑似的なヒルクライムに挑戦できるのだ。僕は山道を自転車で駆け上がるのが好きな変態マゾ男なので、これは意外にも嬉しい。本当はちっとも嬉しくないけど嬉しいのだ。
そうして、何とか家に到着する。
鏡を見れば、砂埃にまみれた男が立っている。それが、なんだかおかしくて笑ってしまった。
ああ、生きて帰れて良かったなあ。と純粋に、そう思えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます