前編②

そして、私達は、世界最大の都市であるクエストリュームに到着したのであった。

世界最大というだけあって、とても活気に溢れた街だった。

「およ?あれは、もしかして、ケモミミ少女ではないか」

ユズルが、少し興奮気味にそう言います。

「そうですね」

「いやー、やっぱあれだな。ああいう人間じゃない生き物見るとここが異世界だということを実感するな」

確かに、今までの道中では、ユズルと同じ人間族の人達しか見ていないから、あまり異世界って感じはしなかったかもしれない。

そんなふうに私が思っていると思わぬところから

「そうですねー」

と、同情の声が聞こえてきた。

だから、私とユズルは驚くのであった。

「女神様ちょっといいか?」

「はい」

そして、ユズルは、私の耳に口を近づけると

(なに、クレアも異世界から来たわけ?)

(いや、そんなはずはないのですが………)

私も不思議に思うのだ。何故なら私には、クレアという名前の女の子をこの世界へ送った覚えなんて全くない。それに、私以外の神様が転生させたとかいうことも確実にあるわけないわけで……………私が唯忘れただけかな?

「?どうしたんですか?急に2人してこそこそと話して?私なにか変なこと言いました?」

「いや、変なことではないけど、なんというか、そのー、お前ってこの世界じゃないどこかから来たのか?」

「???ユズルはなにを言っているのですか?私は、正真正銘この世界の人ですよ?というか、この世界の他に世界なんてものがあるのですか?」

「ああ、そうか。なんか安心したわ」

「??なにに安心したというのですか!!そこんとこ私にも教えて欲しいものです!!」

クレアが、顔を真っ赤にしながらそう言ってきます。

「ああ、別にいいぞ。俺が異世界に来たみたいだなー、的なこと言った時あっただろ?それで、クレアもその意見に同情していただろ。だから、クレアってここじゃないどこから来たのかなーと思ってな」

「そうですか………って、それって、ユズル達にも当てはまることないですか?それに、ずっと気になっていたんですよ。ユズルが、ユリエのことを女神様と呼んでいたことに」

「ああ、そうだな。うん、いい機会だ。俺達のことをいろいろと教えてやろう」

そして、ユズルは語り出すのであった。

私との出会いから、それに、私の能力、あと、自分が持っている魔導書は、私から奪い取ったこと。その他にもいろいろとユズルは、クレアに話した。

****

「へー、じゃあ、本当にユズル達は、この世界の人じゃないですね。これで、納得ですね。ユズル達がこの世界のことに無知だったのが。………それに、してもユリエってとっても凄い能力を持っていたんですね。もしよかったら、今から使ってくれませんか?」

「勿論と言いたいところだけど、生憎この人のおかげで、私のその能力を使うと、私は、幼女になってしまうから………すいませんけど、今使うことはできないなぁ」

「そうなのですか…………でも、少しユリエの幼い姿も見てみたいですね。なので、いつか見せてくださいね」

「はは、……………いつかなら……」

と、私は、ため息混じりそう言うのだった。

「ありがとうございます。…………少しお腹が減ったので、なにか食べていきませんか?」

「ああ、そうだな。じゃ、冒険前にいっぱい食ってくぞ!!」

「おお!!!」

クレアは、とても楽しそうにそう言いました。

こうして、私達の食べ物歩きは始まったのでした。

****

「本当に美味しいものばかりでしたね」

ここの料理は、どれもとても質が高く。まずいものなどなかった。

………いや、ひとつだけ不味くはなかったけど、なんという表現が合うのだろうかと思う料理はあったけども………まあ、それも不味かったわけではなかったし。まあ、ともかくここの料理は、とても美味しかったのでした。

「そうだな。食ったことだし、攻略開始と行きますか!!」

「そうですね」

「あ、あのー、少しいいですか?」

「ん?なんだ?女神様?」

「あのですねー、私まだ全然魔法覚えてないじゃないですか、なので、足手まといになるじゃないかなーと思いまして…………」

私は、自分でこう言っていることは、とても情けないなーと思うのだった。

………ほら、私覚えるとか苦手だからさ、仕方ないことなんだよ。うん………

と私は、誰に言っているのかわからない言い訳を心の中で、言うのだった。

「ああ、確かにな。………うーんじゃあ、そうだな。今から、すぐに行くことは、止めよう。だが、そんな無駄に時間を過ごすことは俺が嫌だから、攻略出発は、明日にしよう。ってことで、今日は、女神様に魔法の勉強をして貰おうと思う」

「…………??」

「どうした、そんな不思議そうな顔して?」

「いや、そのー、なんというかね。私って、あまり覚えるのが得意じゃないのですよ。だからね、1日でどうにかなるとは思わないんだけど?」

「ふーん、じゃあ、ここに1人で残っていくか?」

「いや、そういうわけじゃないけど………」

「よし!じゃあ、頑張って覚えるぞ!!」

そして、私にとってとても過酷な1日が始まったのであった。


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なんで神様《私》が言ったことを聞いてくれないの‼ 【修正版】 夏蓮 @ennka

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