24時間働けますか? ―自転とうるう秒

 「1日は24時間」――これは常識、というか、24時間であることを前提に、私たちは生活しているわけです。

 「はしやすめ ~ときはかねなり(https://kakuyomu.jp/works/1177354054885557884/episodes/1177354054888014758)」で紹介したように、江戸時代の日本では1日を24ではなく12で分割していました。24時間制(定時法)が導入されたのは、明治以降だそうです。

 ところで1日という単位は、地球の自転を基にしています。地球が一回転する時間を1日としているわけですが、「時間という単位(https://kakuyomu.jp/works/1177354054885557884/episodes/1177354054887894839)」では、地球の自転が遅くなっている、つまり1日が長くなっている、という話を書きました。そのずれを修正するために「うるう秒」が導入されていることも。このトピックを書いたのは2018年の年末なのですが、2020年には最短自転時間を28回も観測、2022年6月29日には1日が24時間よりも1.59ミリ秒短かったそうです。


 全体的にみれば、地球の自転は遅くなっていることは確かなのですが、時々速くなっていると。


 なぜこんなことが起きるのか、地球温暖化によって極地の氷が融けたことが原因とする説や、地球のコアが原因とする説などがありますが、はっきりとした原因は明らかになっていません。


 では、地球の自転が速くなると、何が困るのでしょう。一番影響を受けるのはGPSをはじめとする測位衛星ですね。測位衛星に搭載されている原子時計は、(当然ですが)地球の自転を考慮していません。原子時計でぴったり24時間経過しても、24時間前の場所とはズレが生じてしまいます。もちろん、ズレが大きくなれば、地上から補正することになりますが、頻度が上がればそれだけ手間も掛かります。



 昔は、人間が自然(地球の自転や季節の移り変わり、月の満ち欠けなど)に合わせて生活してきましたが、今はそうではありません。科学技術が進めば進むほど、時間以外でも自然とのギャップに人類は悩まされることになるのかもしれません。

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