第3話 決意の表れ
二人の仲たがいが始まり険悪な雰囲気に包まれている中、茂みから足音が聞こえた。
「魔物か!?」
アルヴィスは即座に剣を構え、戦う姿勢を取った。
が、茂みから出てきたのは歳が2、3つ下くらいの少女であった。
「さ…探したんですよ!テュールさん、アルヴィスさん!村のみんなが心配していましたよ!」
テュールはキョトンとした顔で少女を見つめた。
少女の名はエイル。僕達と同じ村に住んでいる女の子だ。最年少ながら勉学の出来が大変良く、土地勘などもありしっかりしているが、時々ドジを踏む時がある。
「や、やぁエイル。よく僕たちを見つけられたね。さ、アルヴィス、村へ帰ろう。」
「お前の覚悟はそんなものだったのか?」
僕は、嘲笑してるとも取れる様なトーンで言ったアルヴィスの言葉に驚きを隠せなかった。もしかしたらさっきまでの怒りがまた出ているのか。はたまた煽りとしてその言葉をぶつけてきたのか。色々な思考が飛び交っているのも束の間、
「お前が行くと決めたんだろう。俺も行くと決めた以上、どこまでも付いて行く。ロンド王国に行くのが無理なら、他の方法を探せばいいではないか。」
さっきまでの思考が一変、アルヴィスがハッキリと放ったその言葉に嬉しさと感動の感情がどっと込み上げてきた。
「あ、あの…?アルヴィスさん…??」
状況も把握できず困っているエイルを横目に、アルヴィスが"お前が決めろ"と言わんばかりに目を細めてこちらを見つめてくる。
「エイル、僕達はカルナ遺跡を目指して旅をするんだ。いきなり村を飛び出して、迷惑をかけてごめん。けれども、僕達は村に戻るつもりは無いよ。」
テュールの決意の表明を耳にしたエイルは若干戸惑いながらも、何かを期待しているかの様に不思議な表情をした。
小さな原石 @poco_u
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