第2話 始まり

ーーーいつからだろう。こんなところに寝転がっていたのは。

少しばかりの気怠さが残る体を、なんとか起こすことができた。


大きく体を伸ばしてから目を開けると、生命に溢れた緑たちが朝の光を照らし返している。

寝起きだからということもあり、風に揺れる葉がぼやけて見える。


「ーーおい。」

後方から声がする。

「何寝ぼけてんだよ。さ、行くぞ」


この声の正体である長い背丈に白金髪、整った顔つきのアルヴィスは、昔から仲の良い幼馴染だ。

いくつになってもイケメンで、村中の女子を虜にする男である。

うらやましい。


服に付いた土をほろいながら、テュールは言った。

「行くったって、これからどこに行くんだよ?」

「帰るしかないだろう」


はるか遠いカルナ遺跡に眠る遺宝を目指し、村の住民に黙って飛び出してきた2人であったが、現在の目的地であるロンド王国までの道が運悪く土砂崩れによって封鎖されていたのだ。

途方にくれた二人は仕方なく、村近くの森の開けた所で夜を明かしていた。


アルヴィスが呆れながら言う。「……だからこんな馬鹿げた事はしたくないと言ったんだ。最初からずっとそう言っていただろう?」

そんな事今更言われても仕方ないじゃないかと内心腹を立てる。

「アルヴィスだって少し期待していたじゃないか!なんで僕ばっかり責めるんだよ!」

少し気まずくなってしまい、互いにそっぽを向いた。

その時、草の茂みから何かの足音が聞こえた。

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