プール

作者 キタハラ

18

7人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

アメリカンニューシネマの初期に「泳ぐひと」という作品がある。
バート・ランカスタ演じる金持ちが、友人たちとのプールパーティーの後で、自分の家までの道のりにある家のプールをすべて泳いで帰ると宣言・実行する映画だ。
唐突な登場といい、皮肉なラストといい『難解』と評されることの多い作品だが、キタハラ氏の小説「プール」の、キャサリンの邸宅のプールに佇む東洋人の男の、邸宅の門の外、水を抜いたプールに所在なさげに佇む姿は、虚しさ溢れる『泳ぐひと』を思い出させた。

夫の留守中のブルジョワの奥様のお楽しみは、同じ階級の女性達で共有される。
その間をイノセントな風情で行き来する東洋人の男は、表情が読めない。
だがキャサリンの心象風景である荒れた庭を心配する。
そのイノセントすらも彼女は余計なものと感じている。
生への欲望は乏しいが、性的な感覚には倦んでいないのだ。

水の潤いが無くても生は続く。
乾きと湿り気の共存した作品。



★★★ Excellent!!!

ゴシック小説だと思いました。ただし、下ネタがやや露骨な……。頭の中で勝手にビクトリア朝なんじゃないかと思ったりもしました。白人社会で一昔前(今も?)は、黒人をこの小説に東洋人のように扱うのはあるのですが、それもペニスの大きさだったような。でも、絶妙に、この、「実際はやってない」感が、良いと思います。