睡ること、生きること。

 めぐるてんは知っていた。

 渡りの鳥を、流れる星を。

 その道すじを、時のなか。


 渡っていくのが鳥ならば。

 流れていくのが星ならば。

 どこかへ辿たどりつくならば。


 生きていこうと朝のなか。

 ねむってみようと夜のなか。

 そのいとなみを、安らぎを。


 たもっていくのがせいならば。

 わたしていくのがめいならば。

 ひとつをつむぎあうならば。


 息をしようと明けのもと。

 夢をみようとよいのもと。

 その温もりを、さやけさを。


 うたっていくのがせいならば。

 てらしていくのがめいならば。

 永久とわにもかさなりあうならば。


 はてなくてんはめぐるから。

 渡りの鳥と、流れる星と。

 いく道すじを、しめすから。


 たしかな生命いのちのその朝と。

 しなやかなたましいのその夜は。

 だれをもみがくものだから。

 だれもが宿やどすものだから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

睡ること、生きること。 きし あきら @hypast

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ