風

風-3-

私は家族の時間が宝物だった。この4人で過ごした時間は今でも鮮明に覚えている。

幸せ。それ以外のなにものでもなかった。

朝は自然と目が覚めて、少し焦げ目のついた食パンを頬張って、大好きな目玉焼きと一緒に食べるんだ。あ、牛乳も忘れずに飲んで、少しゆっくりしたあとは、ピンク色のランドセルを背負って学校へ行く。

お昼、沢山運動と勉強をしたあとは待ちに待った給食！美味しかったなあ。

夜、お母さんとスーパーに行って好きなお菓子を１個買って貰う。そして、荷物を持つのを手伝って一緒にご飯を作るお手伝いをするんだ。この時はお母さん、すごく優しい。

4人でテーブルをかこんで、手を合わせる。

「いただきます！」ちゃんと挨拶も忘れずにね。美味しい、お母さんの料理はやっぱり美味しい。

4人でドライブに行ったり、お花見、海、花火、たくさん見に行った。

サンタさんからプレゼントを貰うために起きてたりもしたけど、結局寝ちゃった。

中学生、部活をたくさん頑張って賞までもらえて、沢山褒めてもらった。

初めての彼氏もできて、家族みんなで大盛り上がりして、お父さんは少し機嫌が悪かった。皆勤賞もとった。

高校生、県で50半ばの高校へ進学。

新しい友達ができて、彼氏ができて、ファーストキスも経験するんだ。

アルバイトをしたり、部活をしたり、沢山いろんなことを経験した。お姉ちゃんは25になり、彼氏と同棲を初めて家を出た。

寂しかったけど、3人暮らしは新鮮で、お父さんとお母さんを独り占めできた。嬉しい。

大学を出て、夢を叶えた私を、お母さんもお父さんも凄く褒めてくれるんだ。自慢の娘だって。

幸せな日々。

私の理想の日々。

暖かい春の風がふいた。