風-2-

私は自分で言うのもなんだけど、友達はたくさんいる方だし、明るくてまんまるなごく普通の小学生だった。

「今日からみんなは小学生です!!毎日元気に登校しようね!!」

そう言った入学式の先生の言葉は私の、みんなの胸を躍らせた。

「みてみてお母さん!今日学校でね!凄いねえってたくさん褒められたんだよ!!!」

と、家族に報告すれば

「へえ、絵を描いたの??上手いねえ!あ!2人ともちょっと来て!!」

と母が父と9歳上の姉を呼んだ

「おお!凄いじゃないか!!将来は漫画家か絵師か画家でもいいな?」

「お父さん褒めすぎ~」

みんな笑っていたんだ。私の1枚の絵が家族を笑顔にさせたんだ。

ある時は、学校であったテストのことでたくさん褒められた。またある時は、運動会のかけっこでやっぱりスポーツマンになれるんじゃないかと親戚中で騒いだ。

たくさんたくさん褒められて育ったことを覚えている。

私は、いい子だったんだ。家族の期待を浴びて育ったいい子だったんだ、だからこれからもいい子でいたい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る