第14話 人を殺す恐怖 鋭理側

『まず、1組目』


たくとは剣をにぎり、わたしは冠をかぶり

1組目の人間と対峙した


がちゃっ


私たちは身を固くする

どんな人たちが来るのか、どんな人間を殺さなければいけないのか


想像していたよりずっと小さかった

いや、幼かった


年齢にして小学高学年くらいだろう

2人の男の子が立っていた

こんな子供を殺せというのか

こんな幼い命を私たちに摘めというのか



「お願い…、お兄ちゃんお姉ちゃん僕たちのこと殺さないで…」


涙目で訴える


私は躊躇する

たくとも躊躇しているだr

ザクッ


…え?


剣を持っている幼い男の子が倒れた


「ごめんな、お兄ちゃんたちも生き延びないといけないから」


そう言って、たくとは冠をかぶっている男の子にも近づき

持っている剣を容赦なく振り下ろした


ブシャッ


鈍い音が部屋に広がる


「声の主さん、これでいいの?」


平然とたくとがそう問うた


たくと…?

私は目の前で起きている事実もわからず、声に出なかった

いや、出せなかった


そこにいたのはいつもの気が抜けてるようなたくとではなかった

返り血を浴びて平然としていてそれで少し笑っていた


「たくと…!あんな幼い子たちを殺さなくてもよかったんじゃ…」

私の言葉を遮るように


「じゃあ、俺たちが殺されてもよかったの?」


私はそこでハッとなる

殺さなければ殺されていた

しかし、あんなに幼い子供を殺す意味も理由もわからなかった

いや、わかろうとしなかった

現実を受け入れられなかった


「鋭理、顔色悪いよ、大丈夫?」


返り血を浴びているたくとがいつも通りの声で私に聞く


その平然とした態度が

そのいつも通りの振る舞いが私は怖かった


人を殺したのに…?

どうして、笑っていられる?

いつも通りに振る舞える?


私はなにも考えられなくなって

そこで意識を手放した

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王騎士遊戯『キングナイトゲーム』 刻ノ風 @tokinokaze

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