失う(捨てる)からこそ得られるものがある。だ、なんて悲しいことだと思う。でも、なぜでしょうか。人生にはそういう局面がたびたび起きてしまう。大切なものを失ったとして、それより少しだけおおく、なにかを得られることができたなら。そう願わずにはいられない。ではそのサイズをどう測ることができるのでしょうか。幸福と悲しみは、同席していることがあります。それをせつないと呼ぶのではないでしょうか。丁寧なせつなさが、ここにあります。
神は宝石を完全な形で埋めなかった。掘り起こした宝石を、加工し、飾り、整えて初めて完全となる。人間はどうなのだろう?間違った加工をしてはいないか。過剰な装飾を施してはいないか。人間の、最も純粋な形。その一つがここにある。