019_デビューが若ければ若いほど正義、というのは間違い
クリエイター関連の仕事をしていると、
「いかに若いうちからデビューを果たせるだろうか」
ということを口にする人がいる。
20歳を基準とするなら15歳で小説家デビューしましたとか、13歳の新人漫画家が期待できる作品を掲載などと言ったものが話題として取り上げられることが多いが、このことを指す。
インターネット時代により個人の才能を自由に表現し共有することができる時代となった今、自らのクリエイティブ表現を世の中で評価されるべく躍起になるということは、時代の流れであり手段を間違えなければ良いことである。
しかしながら、日本という国はクリエイティブに限らず「いかに若いうちから成功を収めるか」ということに対して敏感に反応する文化がある。
前述した、13歳の漫画家がデビューしましたということについても、別に漫画が上手ければ何歳でも問題ないし、スポーツ選手についても10代の〇〇選手が金メダルを獲得しましたなどと年齢の部分を表題に過剰表現する傾向にある。
確かに生まれてから限られた年月の中で一つの才能を見出して他者から評価されるまでに至ることは称賛に値するというものなのだろう。なんとなく毎日の生活を過ごすだけではそのような結果を出すことは難しく、過程から結果に至るまでの部分をスゴイと評価されることはいいことだ。
だが個人的には良い作品を作ったという成果物と、若いうちから評価されたということは別物だと思っている。作品は作品であり、スピードはスピード。
40歳、50歳から何かを思い立ちクリエイティブな作品に取り掛かり、10年かけて成就するというのも大いに結構だと思っている。生計を立てる仕事がきちんとあり、生活の合間に活動することに文句を言う人は居ない。
流石に仕事をせずに人生かけて何十年も創作活動をする人は応援できないが。
若いうちから成功を収めることが派手に取り上げられるのは、まず日本が若いうちから成功をすることを過剰に評価する文化であることから他者からの評価がされやすく、結果、好感的なマーケティング風潮からの幅広い宣伝へと発展させやすいということにある。
そして同時にシニア層が何かを成し遂げたとしても、長く生きているんだから、できて当たり前だろうみたいな辛辣な評価をされる文化もある。クリエイティブ関連についても、大人が作ったものというのは商業化するには若い人と比べられると差があるのだろうと思っている。
就職活動においても、いかに若い人材を確保することができるかというのを優先している企業も多く、シニア層の就職もプロフェッショナル層向けに多く存在しているが、若さというブランドがあまりにも大きく取り上げられすぎている。
今となってはシニア層からの成功は、就職なりクリエイティブなり、他にもyoutuberなり、その層はその層できちんと評価される風土になっているとは思うが、若いのにスゴイね、スゴイね、という表現が奇妙なくらいに持ち上げられすぎているのは否めない。
ここまでが長い序章であったのだが、私が言いたいこととしては、世の中の広告的な部分で若い人のデビューが優遇されスゴイね、スゴイねという風土が蔓延している状況に対して――
10〜20代の人達は、その周りの若い人間が成功しているからと言って、自分も若いうちから成功しなくちゃという強迫観念に追われる必要はない。19歳で小説家デビュー!みたいな記事が出た場合に、自分も19歳までになんとかしなきゃ…みたいなものに追われる必要はない。確かに若いうちから多くの人に評価されたいという自己顕示欲があるのは十分にわかるし、それが若いうちに成功すればするほどブーストが掛かる文化なのはわかるが、年齢だけで躍起になって、その年令を超えた瞬間からやる気を無くしてしまうような事にならないでほしい。
結局クリエイティブなものなんて、現在の市場を見てなんとなく売れそうなものをチョイスして宣伝し儲けが出る金脈にしているに過ぎない。その評価されるタイミングが19歳の人もいれば、45歳の人もいるというだけなので、変に病む必要がないということだ。
30代以上の大人の人たちも、毎日の生活が忙しい状況にある人が多いと思われるが、もし時間もやる気もあるのであれば、好きなようにクリエイティブをすればいいと思っている。特にカクヨムのような個人執筆を自由にできるような環境であれば、自身の思うがままの作品を投稿できるし、コンテストに関しても高校生なんちゃら的な年齢制限のあるもの以外はほとんど応募することができる。
就職活動と違い年齢なんていうものは全く関係なく、要は書いた文章が作品的にも面白く、商業的に見込みがあれば、あとは勝手に作品を宣伝したい人達が集まっていいように取り扱ってくれる。例えばアイドル活動みたいに10代の女の子限定みたいなフィルターなんてまったくないので、やりたければやればいい。
………
……
若い人ほど、若いうちから評価されれば、その評価されたことを大きく自慢したがるのは正直当然なことであり、そんな記事が取り上げられれば、若いうちからじゃなきゃダメなのか…と思う人もいるだろう。
とはいえ、クリエイティブな活動というのは、自身のアイデアや創作欲がある限りは何歳であったとしてもまったくもって問題はない。念の為補足するが、仕事や生活、金銭面を破綻させるような破天荒な状況でない限りは…という条件付きだ。
個人の創作活動1本でやるのは、作品を通じて生涯年収をきちんと稼ぎきってからというのが私個人の基準だと思っている。それまではいつまでも副業にするのが安定でありふさわしい。
SNS等の他者の自慢ツイートをみて自身と比較してしまうこともあるだろうが、世の中の競争社会から降りた人が共通して言うのは「他人と自分を比較しない。上を見たらきりがない」ということだった。
クリエイティブ活動を宣伝するにあたっては、SNSの活用は大いに必要だとは思うが、制作するフェーズのみにスポットを当てるのであれば、正直SNSなんていうものは必要なく、個人でコツコツ作れる環境があればそれでいい。
作品自体は他者に評価してもらうためという目的で作っているため、個人で孤独に活動することに辛さを感じやすいというのは確かに納得ではあるが、不要なフェーズでまで他者と自分を比較する必要はなく、どうか自分の感性を表現している間だけは、世の中のランクを気にせず自由に活動してほしい。
そんな個人的なボヤキとして、今回の記事をまとめました。
長文に渡り、閲覧頂きましてありがとうございました。
以上
【2024年版】ウェブ小説を書籍化する実情を分析してみる タチマチP @String-like
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。【2024年版】ウェブ小説を書籍化する実情を分析してみるの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます