018_本を出版したすぎて猟奇的になる作者が怖い
本を出版するというのは、いわゆるビジネス的観点から会社の収益になるという評価を得たコンテンツのみ許されるものである。
面白い作品を出したいという作者の想いを届けたいというのは確かにもっともな願望ではあるが、結果的に面白い作品が世に出回る前というのは、内容の評価と合算した上で収益につながると判断されたからこそ紙媒体へとつながるのだ。
最近SNSを流し見していると、
・私の書いた作品を理解できない出版社はクソ
・もっと出版できるように業界を改善して
・面白いものを考えてやるから編集者たちは努力しろ
といったような、なんとも『はぇ〜』な書き込みが見受けられる機会が多い。
別にSNSなので常識の範囲内で意見を書く分には、内容なんて別にどうでもいい話なのだが、上記のような書き込みをしている人というのは、多分書籍化に漕ぎ着くのは限りなく難しいのだろうなと思っている。
【・私の書いた作品を理解できない出版社はクソ】←これ
例えば作品をより入念に世界観設計して文章を書く分には作り込みがすごいんだねということなのだろう。まあ別に良しとして、とはいえ作品自体が複雑になるほど、他人に対してその世界観を明確に理解させる必要も出てくる。
少なくとも出版に漕ぎ着く作者というのは編集者に対して、こういう内容で、こう面白いから売り出したいのだというのをクッキリと説明しきっていることのほうが多い。
まあ編集者が面白いと勝手にキャッチアップして作品を掘り上げる場合もあると言ったらあるが、出版に慣れている人ほど自身から作品の面白さを説明するのが上手だったりする。
今の世は文章での評価というのはされにくい現状で、あえて小説という手法を捨てて漫画化、動画化をしている人もいるほどだ。というか、大体の人はそういう手法を取るほうが逆に説明しやすいと言うだろう。
小説というのは言ってしまえば文章を書くだけなので、イラストを書くよりは高い技術もノウハウも必要なく手を出しやすい。その分、それに手を出す人数も多いため競合が増えやすくなるのだ。
じゃあそういう条件の中で文章が書籍化される条件というのは何かというと、なろうを見れば分かる通り、集客数が多いかということ。
文章の内容というよりは集客がいかになされているかというのが注目されており、作品の内容というよりは閲覧母数が多いことが重要視される。
とはいえ母数が多ければそれでいいかと言われたら、そうでもなくて、結果的に多くの人からの評価も得られている作品でないと、結局のところ書籍化したところで収益化には繋がりにくい。商品化するというのは思った以上にリスクのあることで、稟議を通すにあたっても集客性と評価の高さがないと決定打に欠けるというものだ。
ビジネス的観点を知らない人からすれば、出版社が理解してくれないクソクソみたいな捨て台詞をするのだろうけど、まず自身の作品の集客性と評価が最低水準満たしているか自身で問い詰めるべきなのではと思う。
本当に書籍化したいのであれば同人誌という形で自分でお金を払えばいつでもデビューすることはできるし、宣伝はSNSを使えばいいし、全国の本屋には置けないだろうけど、同人誌の販売代行など利用すればいつでも特定の本屋には並べられる。
本当に売れるという自信があるのであれば、自分自身の身銭を削ってでも排出したコストを回収することはできるだろう。それをしていないという時点で、ただ文句を撒き散らす人というのは、基本的にお察しということになる。
少なくともこの文章を見てカッカするような人は、引き続きだれにも評価される可能性は極めて低いだろうし、何も変化は起こらない。本当に出版したいのであれば、作品としての商品価値を改めて分析理解し、他者に上手に伝えるところから始めるべきだろう。
【・もっと出版できるように業界を改善して】←これ
たまーに見かけるけど、大人がこれを書いていたら結構痛い。
業界の人間がビジネスとして儲けるための努力を全くしていないと思っているのだろうか。
多分そこら辺の企業に比べてかなり気合い入れて努力していると思う。
本というのは基本は水物と呼ばれるもので、例えば洗剤とかトイレットペーパーのような生活必需品とはかけ離れた趣向品である。
別に買わなくても生きていけるし支障はない。
だが、その商売をする業界に入ってしまった以上は、売り続ける努力をしなくてはいけない。売れるアイデアを考えつつ宣伝し、作品を選定し、そして会社の売上を出して人間らしい生活を送れるお給料を貰えるように努力をしているのは当たり前だ。
世の中の全員がビジネスを理解しているとは思っていないが、流石にこういう書き込みを見ると、あーこいつ知らねえ奴だなとは遠目から見て感じてしまう。少しでも商売を知っている人だったら、こういうことは思わないのだけれど。
【・面白いものを考えてやるから編集者たちは努力しろ】←これ
上記の辛辣な評価をここまで見ていただいた方ならこのあと何をいうか概ねわかってもらえるだろうが、まず努力するのは作者なんだよなぁ。
室内で過ごす際の読書以外の遊びが圧倒的に増えた現在、それよりも魅力的なアイデアを出す努力をする必要があるのは圧倒的に作者。
作品の魅力を伝えるのもそうだし、内容を担保するのもそう。
ウェブ小説なるプラットフォームや、SNSによる宣伝ツールがあり、結局それって自分がやるかマーケターがやるかのどちらかでしか無い。
自分でできることの幅が大幅に増えて企画から制作、宣伝、販売までが全て個人でできるようになった現在、出版社に認めてもらえなくても勝手に個人で商売して儲けることは十分に可能だ。
もちろん、出版社というブランドが付けば圧倒的な宣伝効果は担保されるが、結局、出版社に振り向いてもらえるまで作品が成長しているなら個人でやり続けることも十分に可能だろう。
とどのつまり、ナンチャラ賞をとって出版社経由で商売をするか、そうでない場合は個人で商売をするか、その違いであり大きな差は存在しない。
【努力しない人ほど文句は一流】
本当に出版をしたいのであれば、文句を言う時間も作品制作に充てよう。
SNSは作品の宣伝だけをしよう。
本当に本を出したいなら同人誌を作ろう。
電子書籍なら0円で作れるから勝手に調べて発売しよう。
成長した作品は、出版社から頭を下げてでも書籍化させてくれとむしろお願いされる。それは努力が結果として実った結果だ。
まずは文句を言う時間を0%にすることに力を入れよう。
あなたの最高の作品が世に出ることを期待している。
以上
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