017_師匠(笑)にペコペコして強くなる作品は当たり前だが嫌われる
10年くらい前までは、弱者で何もない主人公が、とあるきっかけから自分を変えてくれる実力のある師匠(先輩、謎の美少女、仲間)みたいな人たちから教えを請いながら成長していくというシステムが非常に流行っていたが、現在だとそのシステムは割と結構きれいに崩壊している。
『おい、新人! こんな事もできねえのか!』
『お前の実力じゃあいつには勝てねえよ』
『俺に勝ちたかったら死にものぐるいで訓練しろ』
色々あるだろうけど、こういうやつ。
この手の作品は、スタート地点から主人公が弱いという立ち位置を見せたあとで、少しずつ自分が強くなっていくことを痛感でき、そして強くなる目標(魔王を倒す、ワンピースを手に入れる)を乗り越えていくというゴールがあることが分かりやすくて面白いという評判があった。
多分、50年前くらいから10年前くらいまで。
割と結構長い長い長い期間、そういうシステムが好評になっており、昭和、平成と作品の流れとしてはよく使われるテンプレートとして取り扱われていた。
ワンピース、ドラゴンボール、NARUTO、BLEACHとかの大人気作品は共通してそういうのだからね。
ただ、それを客観的に誰かが見て"キモい"と感じる人がいたのだろう。
異世界チート作品というのが2010年代から流行り始めるようになった。
『訓練? いやいや、最強だから誰かに頭を下げて教えを請うとか無いよ(笑)』
『何かを目標にする? なんで(笑) 自由に生きるから放っておいて』
『なんで先輩ヅラしてタメ口使うの? 初対面なら平等だろ』
といったもの。
日本は特に先輩後輩システムというのを重要視しようとする思考にあり、長く経験を積んできたものに対して頭を下げて服従するというのを良しとする傾向がある。
今ではその仕組みは"キモい"よねっていうので、年齢性別問わずに実力主義で対話していきましょうというのが増えてきているが、ほんの10数年前までは、実力云々問わずに、権力と経験が長い人間を無条件で崇めなくてはいけないというクソルールが蔓延していたのが事実。
ちなみにどうして先輩後輩システムというのが蔓延していたかというと、自分が無能であることを年下にバカにされたくないというのが理由である。
もしも最初から実力主義を採用してしまえば、自分よりも年下の人間に頭を下げなくてはいけないし、それを無駄なプライドが屈辱と認識する。
先輩後輩システムというのは、実力云々を見ない代わりに、年齢と在籍年数だけで上下関係を構築することができるから、たとえ無能でも年下ならばふんぞり返る事ができる。
会社や学校で先輩後輩システムを重要視している人間は、自分の実力の無さをバカにされたくないあまりに先輩であることを強調して威圧しようとする。
特に地方だと、学校を卒業してもずっと先輩後輩システムを引きずろうとする人間が多かったりする。
社会的に成功をしたり、金銭を得る能力が平凡だったりすると、自分自身をアピールする要素がないから、先輩後輩システムでふんぞり返り続けようとするのだ。
平成の中盤以降に整備された企業だったりすると、そういうのはよしたほうが良いよねっていう傾向で時代に合わせた変化をもたらしているが、昔ながらの企業というのは、無能が多いあまり先輩後輩システムを乱用する。
特に学校の場合は令和の時代であっても先輩後輩システムを乱用する傾向にあり、ライトノベルを読む世代にとっては、小説の中でまで、そんなクソシステムを見たいとは思わないと感じる可能性があるのではなかろうか。
最初は誰だって未経験からスタートするのだから、誰かから教えを乞うのは必須というべきなのに、それを利用して先輩がつけあがろうとするから、後輩というポジションの人が強い嫌悪を示すようになった。
youtuberとかで自由に生きている人とか、自営業を始める人は、少なくともそういうペコペコが嫌いで嫌いでうざくてしょうがないという考えである場合があるのではなかろうか。
常に自分がファーストであってほしいし、そのプライドを折ろうとする人間を煙たくなるのは当然。
リアルの世界でビジネス面などでそういうことを成している人は、そちらで気持ちの良い思いをしているだろうが、誰しもがそんなにうまく世の中をいきているわけでもないので、小説やアニメと言った別の世界感で先輩後輩システムを排除してっても問題ないよねっていう姿を見て楽しむケースも出てきた。
テレビでアスリートたちがコーチからパワハラ、モラハラ、セクハラを受けて苦しい思いをしたという報道が流れているし、そういうので更に先輩後輩システムがクソだよねっていう思考の人が増えてきているのではと推測している。
少なくともタチマチPは、先輩後輩システムは一部いい部分はあるんだろうなとは思いつつも、基本は実両主義で平等に接していきましょう、という新しいスタイルが好きだと思っている。
なので、異世界コンテンツは基本読まないつつも、作品が流行る理由というのはびっくりするくらい共感できる。
売れるから、という理由でとにかく異世界無双チート自由おっさん放浪が乱発されているけれども、それでも個人個人が自由に生きるためにはどうすればいいか、という趣向があっても叩かれなくなった今の時代は結構好きだ。
寿司職人だって10年修行しなくても、アカデミーで真面目に勉強すれば効率よく3ヶ月から半年で店を持てる。要は効率が改善されて、無駄な感情論は排除されつつある。
もしも、ウェブ小説で、無能から熱血に成長していく作品を書いてジャリンジャリン稼いでいきたいぜ! っていう人がいたら、一度本記事を思い返してもらいつつ、今の時代に合う小説を書いてくれると良いかも。
ただ、それで売れなくても文句言わないでね。
コンテンツが売れるのって、結局のところ"運"だから
それでは、今日はこのへんで。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます