第210話ガーディアン2

 連携を取り、敵の死角を突き続け、なんとかHPを削り続ける。敵の攻撃は素早く、全く見えないが、初動があるので何とか回避し続けられた。


 ただこれまでの敵とは違い、予測不能なロボットならではの攻撃もある。目からビーム、魔法障壁などだ。障壁は、こちらの方がLVが高ければ「一刀両断」で斬れるが、そういうわけにもいかない。


「「俊足斬り」!!」

「「疾風突き」」!!」


 僕と卍さんが両サイドから斬りかかるが、魔法障壁にとって防がれる。だがここまで来て分かったことは、防御をする際は攻撃が出来ないようだ。逆を言えば、攻撃をする際は防御が出来ない。


 僕は敵の正面に立ち、ヘイトを集める。攻撃には初動がある。それさえ躱せれば、あとは皆が何とかしてくれる。


 僕は回避することだけに、全神経を注ぎ込む。


 敵の目が光る。今だ。全力で左右にステップし、飛んでくる光の線をギリギリで躱していく。光は地面に辺り、その軌道を描くように地面が焼かれていく。人の体にあたったらひとたまりもない程の高温のようだ。


 その隙に卍さんと十左エ門が斬りかかりダメージを与える。固い金属音がし、二人の剣はその体には通らないが、多少はダメージを与えられたようだ。通り過ぎる二人に反撃しようとする敵に対し、魔法や矢が飛び、敵は障壁を張り防ぐ。


 地道な攻撃だが、この連携で何とかHPバーを一本減らすことが出来た。ここまで約一時間。そろそろ夕食の時間なのに、と僕は苦笑いをする。


 今夜は徹夜かな?と一瞬気を抜いたことがまずかった。HPバーが一本減ったこともあるだろう。爆風の中、障壁を張ったいたロボの腕が振りかざされる。


「ウィル殿!!」

「ウィルさん!!」


 二人の声にハッとし、本能的に剣を盾にして後ろに飛ぶ。が、その瞬間凄まじい衝撃と共に、僕は空中を飛んでいた。眼下には、既に後衛陣の姿がある。まずい、ここで標的にされたら身動きが取れない。


 それを察して卍さんと十左エ門が敵に斬りかかるが、それよりも早く敵の目が光る。あ、死んだ。そう思ったとき、何かが僕の体を攫い、敵の攻撃は宙を切る事となる。


「間一髪と言ったところか。集中を切らすな。らしくないぞ」

「レイか。助かった。という事はアイリスか」


 下では大剣を振るい笑顔でこちらを見ているアイリスがいる。恐らく大剣でレイを飛ばしたのだろう。なんという反射神経だ。僕が飛ばされてから数秒と言ったところなのに。


 他の皆は敵を攻撃し続けている。僕が着地するまで敵に攻撃をさせず、障壁を張らせ続けるためだ。


 着地と同時にエリーゼから回復魔法が飛んでくる。改めて自分のHPを見ると、消える寸前だった。ガードして、さらに衝撃を後ろに飛んで減らしたのにこのざまか、と苦笑せざるおえない。


「ウィル。まだやれる?」

「当然。さっさと倒して、帰ってご飯にしよう」


 エリザベスとの短いやり取りをした後、僕は全力で駆け出す。やられた分やり返さないと。こんなところで死んだら、またジィジにぶっ飛ばされる。


 だがここで敵の様子がおかしいことに気が付いた。皆が攻撃をし続けて、障壁を長い事張らせすぎたことが原因だとわかったのは後の事だ。


 障壁が突然光を発する。何か来る。皆がそう思い構えた瞬間、それはやってきた。


「「怪力」「切断剣」!!」


 殆ど勘だった。僕は迫りくる何かを斬るために剣を振り、宙を斬る。


 次の瞬間、空間がブレて、地面が抉れた。


 そして僕は悟った。敵は一定以上障壁でダメージを受けると、その衝撃を衝撃波として打ち返してくるのだと。


 僕はその衝撃はを斬った。故に後ろにいた後衛陣は無事だ。だがそれ以外の場所は全て地面が抉れ、卍さんと十左エ門は敵の両サイドの壁の所で蹲っていた。


 消えてない。二人は消えてはいない、つまりまだ生きているという事だ。


 二人が心配だが、なら僕のすることは一つだ。敵の攻撃を自身で受けるため、僕は駆け出した。


 両サイドに光が飛ぶ。恐らくエリーゼの回復魔法だろう。彼女の判断の速さに感謝しながら僕は正面から敵に斬りかかる。


 当然のように障壁にはまれるが、構わず斬りかかる。そして後ろに飛び、敵のレーザーを躱し、また攻撃する。


 数分はそうしていただろう。いや、僕がそう感じているだけで、実際は数秒かもしれない。


 敵のヘイトを稼ぎ、同時に衝撃派が来ないように攻撃を貰う。


 僕のHPは減っていないが、精神的にかなりきつい。さらに敵の減らないHPが僕の精神を抉った。


 いつまでこうしていればいいのだろう。時間だけが空しく過ぎ去る。


「待たせた!すまないでござる」

「今行きます!」


 僕が敵の攻撃を躱していたところで、敵の背後を二人が交差する。どうやら彼らも戻ってきた。さあ、仕切り直しだ。


 そこからさらに30分は経っただろうか。さらにHPバーを一本減らすことが出来た。


「ははっ。あと少しですな!」

「だね」


 僕と十左エ門が、自身に言い聞かせるように言う。


 その時、突然それは起こった。

 

 突然、敵の本体がブレ出したのだ。


 また何か来るのか?皆が構えるが、どうやらそうではないらしい。


 何故だかわからないが、敵のHPはみるみると減っていく。HPだけではない。KVまでもが下がっていく。


「待たせたでニン!!上手くいったでニン!!」

「「服部半蔵之介?」」


 突然、どこからともなく敵の背後に姿を現した彼が、嬉しそうに叫ぶ。


「この敵は機械の光によって映し出されているでニン!某は必死に探し回って、その機械の動力源を破壊したでニン!全部は無理だったニンがそこは許してくれニン!」


 嬉しそうに話す彼に対し、誰もがこう思う。


(((((あ、そういえばこいついたんだっけ)))))


 既に存在すら忘れられていた服部半蔵之介は、そんな皆の気持ちちを知らずに嬉しそうにピョンピョンと跳ねていた。


 敵はいつの間にか、LV100まで下がり、そしてHPバーもあと一本という所まで弱っていた。


「忘れていたことはさておき、助かった服部半蔵之介!!」

「忘れてたが、よくやってくれたでござるよ服部半蔵之介!!」

「忘れていましたがこれで勝機が見えました、ありがとうございます服部半蔵之介さん!!」


 僕と卍さん十左エ門の声が聞こえなかったのか、いまだにはしゃいでいる半蔵之介を放っておき、僕らは駆け出す。


 敵のHPバーはすでにレッドゾーン。どんな攻撃をしてくるかわからないが、このLV差なら問題ない。


 敵の体は赤い瘴気を出す。そしてその手足が開き、僕等に向かって小型ミサイルは放つ。


「「「くっ」」」


 迫りくるミサイルの数は一人10発。だがそれを躱す事無く、ミサイルは空襲で迎撃される。


「行きなさいウィル!構わず走りなさい!」


 後方からクリスの声がする。見ると二人に向かっていたミサイルも全て撃ち落とされていた。後衛陣が全て撃ち落としてくれたのだろう。その頼りになる彼女達に感謝しながら僕らは走り、剣を振るう。


「「「はぁあああああ!!」」」

 

 僕らの声が、剣が重なり敵の固かった装甲に突き刺さる。


 斬れる。


 そう確信した僕らはスキルを全開にして一心に剣を振るう。装甲を斬り、障壁を斬り、僕等は確信する。


「「「ラストッ!!」」」


 三人は「魔爆剣」を使い、敵を内部から爆発させる。


 一旦距離を開け敵の様子を見ると、敵はゆっくりとその姿を震わせ、そして光の粒子となって消えていった。


 次の瞬間、部屋には僕らの歓声が響き渡る。


 こうして悪魔の城、最後のボスを倒したのだった。

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Another Of Life Game~僕のもう一つの物語~ 神城弥生 @_yayoi_kamisiro_

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