眠れぬシャイン
藍木祐
第1話 はじめにプロローグ
耳の少し下までで切り揃えられた髪。
横顔にうっとりしてしまうような筋のとおった鼻。
いつも遠くの何かを見つめているようで物悲しささえをも感じさせる伏せ目がちな瞳。
はっきりとした輪郭。
そして何よりも、触れたら壊れてしまいそうな、幻なのかもしれないと疑いたくなるような雰囲気。
そう、私は彼女が好きだった。
もしかしたら、彼女の一部になろうとしていたのかもしれない。
彼女は私の先輩で、よく仕事ができた。
彼女は会社が無理を言っても、文句も無く受け止めた。
彼女は人より仕事ができるのに、人より努力をしていた。
彼女は格好よくて、完全なる憧れの的だった。
彼女はみんなから信頼されて、穏やかな笑顔を絶やすことはなかった。
彼女は7階から落ちて、ぐしゃぐしゃになった。
彼女は一昨年、死んだ。
眠れぬシャイン 藍木祐 @yu_aigi
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