そして、四の火は。
意識が遠くなる。
確かに神経を酷使している。洞窟に踏み入れたものたちの情報を少しでも得ようと聴覚に神経を集中させていた。これほどまでに聴覚に集中した事は無かった。とある図書館で石板を読み取ろうとした時は同じくらい視覚に神経を回したが。
意識が遠くなる。
神経の何本かが活動を停止する。エネルギーが足りない。そのことに気付いた頃には全てが遅かった。思えば、あの山から逃げてからというもの、エネルギーを得る行動を取っていなかった。それに気付かない程に、私は……
意識が遠くなる。
もう魔術の保持が出来ない。霧散する。思えばそれも良くなかった。あの時だってそうだった。魔術に頼ってるだけでは駄目だと、私は思い知ったはずだったのに。セブンを喰わせて、私は逃げた。
意識が遠くなる。
セブン。キミはあの時に、人型の歪な顎門に喰らわれたあの時に。こんな気分になったのかもしれないな。あそこでああすれば良かったな、と後悔の絶えない気分に。
地面に落ちた。
さて、前に死んだのはいつだったか………記憶していない。人間の書物、アルが拾ってきたそれには、精神を傷付けない為に記憶を失う事がある、とあった。私だけでなく、私たちには死の概念は無い。一度死んだとして、私たちは甦る。だから、死の瞬間が失うべき記憶だと気付かなかった。
そもそも、私たちは振り返る事をしなかった。旅に出て、得た知識の記録は残した。残しはしたが、それは振り返る為でなくて、自らの知識を深める為だけに。いや、知識を深めようとしていたのは私と、ウノだけだっただか。アルは現地の知性体に、ドライは鉱物、それぞれに興味が別れていた。
はは。今にして思えば、どうしてこうも差異が生まれたのだろうな?まぁ。帰ってから聞けばいいか。……そうしたら、私はこの瞬間を忘れてしまうのだろうか。
意識が、もう保たない。
この体は、踏み入れたもの共に見つかってしまうのだろう。どうなるのだろう。アルがするように持って行かれるのだろうか。……だとしても、私に、どうする事も出来はしないが。そして、
死んだ、と自覚した瞬間。
空で星が弾けた。
チーム・ストラフトンの消灯 亀馬つむり @unknown1009
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