第3話バッテリー

とは大違いで、今日はジリジリと暑い日になった。

刹那の墓参りには、新幹線で3時間。鈍行に揺られること1時間。その後には急勾配の坂が待ち構えている。

進が手を繋いで一所懸命に歩いてはいるが、千夏はいつもより元気がない。

(流石に大人でもキツい坂だからな。それと、熱中症にも気をつけないと。)

「ついたぁー!うっわー、キレイ!!」

さっきまで、疲れていた千夏はいない。

あるのは、ニコニコの笑顔と山から見下ろす綺麗な街並みだった。

「本当に、、、綺麗だ。」

―――夏川家の墓。

「刹那、ただいま。千夏もママに挨拶しなさい。」

向日葵の花を供える。彼女の好きだった花だ。

『もう1つの夏の太陽みたいで素敵でしょ。それに、とっても笑顔で・・・。』

ちゃんと、理由聞いておけば良かった。

「ママ、ただいまぁ!!」

明るい声が山に響く。

(刹那も嬉しいだろうな。)

2人で手を合わせる。

「帰ろっか。」進はすぐに帰りたかった。

「ただいま」を重ねても刹那はここにはいない、

寂しさが陰る進に「うん!」と元気よく返事する。千夏はいつも笑顔だ。

(俺には今、千夏がいる。)

坂を登ってくる奴がいる…。

「やぁ、久しぶりだね進。元気だったかい?」

喪服を着ているにガッシリしている体つきが分かる。だが、そいつの爽やかな悪ガキのような笑顔は高校の時と何も変わらない。

「久しぶりだな、社 裕太。」

「フルネームなんて、他人行儀はよそうぜ。…俺たちは今も変わらず最高のだろ。」

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