ラブホ清掃。ある意味非常に特殊な仕事を行う筆者の目を通して、ラブホテルという分厚い壁の向こう側、裏側を垣間見ることのできる、大変興味深い作品です。
訳のわからない行動を繰り返す人。有り得ないものを置いていく人、忘れていく人。部屋で命を落とす人。
思わず疑問符を浮かべてしまうような利用客たちの行動。読み進めるほどに、驚きを覚えます。
けれど、それは恐らく——誰もが心の奥底に沈めている愚かさ、寂しさ、悲しさ。
そんなものが抑えようもなく浮き上がり、自分ではどうにも処理しきれなくなって、迷い込む……そこは、そういう場所なのかもしれません。
クスッと笑えるようでいて、深く、重く、痛い。
そんな何かを、強烈に訴えてくる作品です。
ラブホ。
ライトな響きが定着して久しいですが、大人のアミューズメント施設。
それが、ラブホテル。
不満さえも、愚痴さえも、笑いと現実へ落とし込み、
作品として昇華される作者様。
見事な帳消しなのです。
何故、ここまでリアルなのか。
作者さまの職場でもあるからです。
器の小さい事を考える前に、ご一読下さい。
むき出しの欲望と、人間性が残され、まみれた一室で、
作者様は冷静に洗い出し、日々の思いをネタへと綴り、
我々に警告を与えて下さるのです。
好き勝手やろうと、客の権利を喚こうと、
従業員さんには逆らえない事を。
従業員さんは、
全て、お見通しなのだという事を。
この先、
あの話し、この話しも出るのだろうかと、
桜雪様ファンとしては、楽しみではありますが、
負担が多い現場には違いなく。
ご無理なさらず、
心身共に、ご自愛下さいますように。