クスッと笑えるようでいて、深く、重く、痛い。

ラブホ清掃。ある意味非常に特殊な仕事を行う筆者の目を通して、ラブホテルという分厚い壁の向こう側、裏側を垣間見ることのできる、大変興味深い作品です。

訳のわからない行動を繰り返す人。有り得ないものを置いていく人、忘れていく人。部屋で命を落とす人。
思わず疑問符を浮かべてしまうような利用客たちの行動。読み進めるほどに、驚きを覚えます。
けれど、それは恐らく——誰もが心の奥底に沈めている愚かさ、寂しさ、悲しさ。
そんなものが抑えようもなく浮き上がり、自分ではどうにも処理しきれなくなって、迷い込む……そこは、そういう場所なのかもしれません。

クスッと笑えるようでいて、深く、重く、痛い。
そんな何かを、強烈に訴えてくる作品です。

その他のおすすめレビュー

aoiaoiさんの他のおすすめレビュー1,086