1-4 M16A4をどうぞ
あれから、ダリオは運命を呪い、狂ったようにモンスターを殺しまくった。
—―ダリオ・レベリング中—―
◇Lv3→Lv13◇
【ステータス】
Lv13—―ブロンズランク—―職業:戦士
◦体力:400
◦魔力:30
◦攻撃:70
◦防御:62
◦俊敏:81
◦知恵:20
◦運 :50
〈スキル〉
◦アイテム調合—―誰もが持つ初級汎用スキル
◦射撃技能—―遠距離武器の練度を上げる事により習得
〘効果1〙遠距離武器にダメージ補正が掛かる。
〘効果2〙使用時に必要となる魔力消費を50%減少
「ヒャハァァァ!! 敵が弱すぎィィィ!!」
会ったモンスターを軒並み倒していくダリオは最初のビビりは何処へやら。
見つけたら「経験値発見」と平然な顔して無慈悲に弾を撃ち込んでいく。
『グオォォォォォォォッ!!!』
その狂人と化したダリオの横から突然、巨大の魔物がこん棒を振り上げる。
〖ディエルオーガ〗
◦討伐適正:Lv35以上の冒険者
【ステータス】
Lv32
◦体力:10000
◦攻撃:600
◦防御:500
◦俊敏:220
◦知恵:50
◦運 :3
〈スキル〉
◦巨人族の加護
〘効果1〙自分よりも小さい敵に対して攻撃力アップ
討伐適正は35以上となっているが、オーガの異常ともいえる高体力故に実際は40レベル以上の冒険者が束になって倒す魔物だ。
だが、銃を持ったダリオはと言うと。
「あっ、経験値だ」
ダリオは横からの突然の襲撃をいとも容易くステップで回避し、M16A4のトリガーの上に取り付けられたレバーを下げて。
〈フルオート〉から〈セミオート〉に切り替える。
そして、醜悪な顔に存在する大きな一つの目を正確に狙い撃つ。
『グオォォ、グオォォォォォォォォォ!!!』
自分の目を抑えて、まるで痛覚に悶えているようなディエルオーガにダリオはすかさず接近し、M16A4をフルオートに切り替え。
隠されたウィークポイント—―〈股間〉に無慈悲に弾丸を撃ち込んでいく。
パパパパパパパパパパパパパパパッ!!
『グアァ、グアァァァァァァァァァァァァァ!!!』
それは、討伐と言うには、あまりにも酷過ぎた。
頭でも無く、体でも、足でも、腕でもなく。
ただ、〈股間〉だけを集中的に攻撃する様は。
【残酷】、その言葉一つでは片づけてはいけない事だった。
この、魔王でもやらなかった禁断の技をダリオは平然とした顔でやり遂げた。
股間を撃ち抜かれて断末魔を上げるオーガの声は地下迷宮中に響き渡り。
それを境に、魔物達は誰一匹としてダリオへ近づく事はなかった。
◇◇◇◇
「なあユウタ。ここの中にミノタウロスがいるんだよな?」
オーガを倒してから魔物一匹遭遇していないダリオは、スムーズに最深部だと思われる、巨大な鉄扉の前までやってきた。
「…………」
「ユウタ?」
架空に向かってユウタに声をかけるが返答がない。
だが、ユウタのぶつぶつとした独り言がずっと聞こえる。
ダリオが聞き取れた辺りでは「皆人間を怖がってダンジョン所ではなくなる」とか何とか言っていた。
「はぁ、もうかってに行くぞ」
ダリオは巨大な鉄扉を力いっぱい押し、少しずつ開いていく。
人が入れるくらいの隙間ができた所で押すのを止め、体を滑り込ませて入る。
その場所を見て、ダリオは恐怖ではなく、関心が湧き上がった。
今までのフロアと違い、舗装された壁に、遠くに伸びるレットカーペット。
そしてカーペットを辿った先にある王様が座るような巨大な椅子に腰を掛ける、頭が牛、体が人で、青色の巨大な魔物。
その魔物はダリオが入ってくると同時にのっそりと立ち上がり、目にも止まらぬ速さでこちらにダッシュしてきた。
「……っ、早い! だけど一直線に突っ込んできても死ぬだけだ、ぜ?」
M16A4を構え、足に標準を向け、トリガーを引く—―
『トォォォォォゥゥゥゥッ!!』
と、同時に奇妙な雄叫びを上げ、大きく跳躍するミノタウロス。
あんな巨体で結構高い天井まで飛び上がるなんて、と同様するダリオ。
「何!? だけど、空中じゃ回避行動を取れないんじゃないか?」
一呼吸して冷静になり、銃口をミノタウロスに向ける。
そして。
パパパパパパパパパパパパパパパッ!!
一目では認識ができぬ弾丸を滑空中のミノタウロスに向け、撃ち込む。
しかし。
『フゥゥゥゥゥゥウ! フワッフゥゥゥゥゥゥ!!』
またしても、気色悪い声を上げて、体を捻り弾を避けていく。
体を捻るだけであんなに動けるものなのか!? とダリオ。
そんな弾がミノタウロスに一発も当たる事がなく。
—―カチッ
と、銃から乾いた音がした。
「ぐっ、弾切れ……!」
気づいたとほぼ同時に弾倉を引き抜いて【
すると、軽かった弾倉にズッシリとした重さが戻る。
そして、流れるように弾倉をM16A4へ取り付け—―
『アババババババババババッ!!!』
「だからコイツなんだんだよ!?」
リロードした直後、本当に気持ち悪い声を上げながらダリオの目の前に着地したミノタウロス。
ダリオはバックステップを行い、銃を構え頭を狙ってトリガーを引く、が—―
『スゥゥゥゥゥゥゥゥゥミィィィィィィィィ—―』
と、またしても気持ち悪い声をあげて、避けるミノタウロス。
しかし避けたのはいいが、両手、両ひざが地面につき、頭が地面すれすれまで下がっている。
ここから動くのにはワンテンポ遅れるため、今狙えば必ず弾が命中するだろう。
「もらったぁぁぁぁぁ—―」
ダリオはその好機を見逃さず標準を下げて、正面で土下座のようなポーズを……。
(ってこれ、土下座のような、じゃなくて、土下座じゃね?)
『マァァセェェンンンデシタァァァァア!!』
「……………………は?」
今、ダリオは幻声を聞いた気がした。
正面で土下座ポーズを取るミノタウロスが今、謝った? と。
もしかしてと思い、銃口を向けたまま。
「おい、撃たれたくなかったら、もう一度言ってみろ」
『スミマセンデシタ。オネガイデスカラ、ウタナイデクダサイ。ソレ、キラレルヨリナンバイモイタインデス』
「……………」
幻聴ではなかった。
確かに今、ミノタウロスはしゃべった。
それだけではなく、痛いから止めてと、筋の通った言葉。
「あ~、やっぱりこうなるんだねぇ~」
何処からともなく聞こえてくるユウタの声。
『ユウタサマ! ジュウワ、ムリデス!』
架空に向かって「ユウタサマ」と叫ぶミノタウロス。
「どういうこと?」
ユウタとミノタウロスが主従関係のように見えるダリオは、今起こっている状況を理解することができずにいた。
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