日不見




暗がりに眼は慣れはじめている

あなたは

ひかる画面をまっすぐ見たまま

明るさのことなど

もう忘れてしまおうとしている


まったくあたりまえに夜はきて

だれもがそれを疑えないまま

朝を知らない初めての赤子が

うまれる


暗がりに眼は慣れはじめている

あなたの

涙腺からうまれる生きものを

どうしてしまうこともできずに

ひかる画面がただひかる


朝を知らずにうまれる赤子に

光を

だれもが教えられないでいる

あなたは

ひかる画面をまっすぐ見たまま

光のことをもう

忘れてしまったように泣き続けている



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金木犀を追って 相園 りゅー @midorino-entotsu

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