第49話 それ、地雷ですよ?
7月21日。
日は過ぎて行き、夏休みに突入した。
店の復興後、相変わらず俺とサクは手伝いをしている。
日中は本当に暑く餡子の為の豆を拵えるのに汗が吹き出る。
だが、それでも楽しくやっていた。
俺はサクに餅を渡したりする。
その時だ。
親父が唐突に、一言だけ言葉を発した。
「.....桜。そしてカイ。後で話が有る。良いか」
「.....は?」
唐突の呟きに俺達は固まってしまった。
だが、その時は忙しくて直ぐに動かなければいけなかったので。
深く考えている暇が無かった。
☆
「.....親父」
「お義父さん.....?」
俺達は制服を脱いで、普段着で。
作業場に居た。
親父は相変わらず、仕込みをしている。
だが、俺達の言葉に手を止めてそして俺達の方を見てきた。
「桜。カイ。お前達は.....付き合っているのか?」
「え、あ、いや.....違うよ。お義父さん」
「.....そうだな。サク」
俺達の否定に。
そうなのか、と親父は小さく呟く。
だが、その顔は真剣な感じを醸し出していた。
静かに、俺達の方を見てくる。
「.....もし、お前達が付き合うのならそれは俺は止めない。だが、カイ。責任は持て。必ず、桜を一人前の女として見るんだ。妹としてでは無く、だ。カイが桜の名前を言うのが変わったからもしかしてと思ったが。違うなら.....良いんだが。すまない」
「親父.....分かった。サクと付き合う事になったら.....絶対に守ると誓うよ」
「.....か、カイ.....」
ボッと赤面しながらサクはモジモジしていた。
俺はその光景を笑みを浮かべて見つつ。
サクの頭に手を乗せた。
そして、親父の方を見る。
「.....親父。もし付き合うとなったら.....応援してくれるか」
「.....」
親父は立ち上がってそして。
俺に向いて、静かに見据えてくる。
のだが、次の瞬間。
信じられない光景を見た。
笑んだ。
親父が、である。
「応援する。それは.....嬉しい事だから、だ」
「.....親父.....」
「お義父さん.....!」
まさかの事に俺は涙が浮かんできた。
そして目に手を当てる。
親父が笑ったのが何よりも嬉しかったから。
サクも泣いて俺を支えてくれた。
何よりも嬉しい。
ここ最近では、だ。
「約束してくれるか。カイ」
「.....はい。約束します」
「.....はい」
親父から笑みは消えた。
だが、そうか。
と安心した様に。
作業に戻っていった。
俺はその光景を生涯、忘れないだろう。
きっと、だ。
☆
「.....夏休みだから.....デートするか。サク」
またお金をくれたのでデートでもするか。
その様に思った。
サクは髪をかき上げて。
そして恥ずかしそうに、い、良いの?と言った。
恥ずかしそうだ。
「.....暇だしな」
「でも、勉強.....」
「.....それよりも今は暇潰しがしたい。良いか?」
「じゃあ、付き合って!」
本当に嬉しそうにする、サク。
俺はその様子を頬杖を付きながら、見る。
そして、サクは立ち上がって、嬉しそうに自室へ向かった。
「待っててね。とっても可愛いの着るから!」
「程々にな。まぁ、元からお前は可愛いけど」
「も、もう!」
赤面で駆け出して行く、サク。
ったく、浮かれ過ぎんなよ、俺はその様に思い。
準備をするのに、立ち上がった。
そして俺は歩き出す。
☆
「.....ジーパンにTシャツ、ベレー帽か」
「に、似合うかな」
「.....凄い可愛いよ。似合ってる」
「えへへ、やった」
玄関で俺達はその様に話す。
こんなに可愛い女の子が俺の事を好きってのがな。
やっぱり有り得ないよな。
俺はその様に思いながら、サクを見つめる。
サクは目を輝かせて話した。
「.....ど、何処に行く?何処でも良いよ」
「.....今日は街に出てみるか?」
「.....え、良いの?」
「ああ。街に出よう」
そして、俺はサクの手を引いた。
俺達は玄関ドアを開けて。
そして外に出る。
「.....カイ。恋人繋ぎして良い?」
「.....え、な、何だよいきなり.....」
「えへへ、良いかな?」
静かに、恋人繋ぎをするサク。
そして寄って来た。
俺を見上げて、本当に嬉しそうにする。
まるで、プリ○ュアでも見た様な少女の。
嬉しさの様な感じだ。
「じゃあ、行くか」
「うん」
駅に向かって歩き出した。
恋人繋ぎをしながら、である。
俺もサクも嬉しそうな感じであった。
☆
切符は買った。
そしてお茶も買った。
もう忘れ物は無いかな?
よし、出るか。
「.....街中なんて久しぶりだね」
「2年振りか。どう変わってんだろうな。この辺にはスタバとかユニとか無いしな。街中なら有るだろうし」
「楽しみー」
「そうだな」
電車が来た。
俺達は電車に乗り込んで。
そして前を見る。
初々しい、家族の様な3人が居た。
赤ん坊、男の人、女の人、つまり、結婚しているのだろう。
その家族は会話していた。
俺とサクはその家族を見つめる。
すると。
「.....私も妊娠したら.....あんな家族みたいに.....」
その家族に何か呟いてボッと赤面したサク。
俺は?を浮かべた。
何だろう?
「.....サク?」
「いや、何でもないから!」
「???」
ん?訳が分からん。
俺はその様に思った。
サクは赤面で俯いて、そしてモジモジする。
うーむ?
「.....まぁ、熱じゃないなら良いけどな」
「鈍チン」
「.....は!?」
何でもない!
その様に怒る、サク。
家族に笑われながら、横を向いてしまった。
お前がブラコンだという事を俺は知っている アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou
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