第3話 ドンブラコー
晴天の空に、なびく風が頬にふれ、気持ちよさを感じさせてくれる。
草木は、実をならし、花たちは美しく咲き誇る春の季節。
人里離れた、山の向こうに一つの小屋があった。
そこには、何をやってもやり甲斐を持てない、ただ、毎日毎日同じ時間を過ごす、髪の毛を失ったおじいさんと、若い頃は才色兼備とも吟われるほどの逸材だったがある日、ストレスが切っ掛けで薬に手をだし、何もかもを失ったおばあさんが住んでいた。
二人はそこで、それぞれの傷を癒すべく、人のいない、静かな山奥で農業等をして、暮らしていた。
ある日のこと、おじいさんは近頃発見した楽しみの一つである、山へ観光に来た人々を襲って、殺して、監禁して、虐待して、拷問してなど、いかれた遊びに向かおうと、鎌を右手にもって、山へ芝刈り《人狩り》に出かけた。
おばあさんは、町へ向かい、新しい薬を手に入れるため、お金を稼ごうと川岸へ、釣りなどをするために向かった。
流れる水が、自然を感じさせる音をならして、この世の全ての悩みを打ち消してくれる。
しかし、おばあさんの頭は薬のことで一杯だった。
「はぁ、、、はぁ、、、くじゅり!くしゅり!くびゅり!うどぅり!はぁ、、、はぁ、、」
なにかと、息苦しい様子を見せて、薬の欲しさを、声に出している。
完全に、いってる。
すると、川の上流からなにか流れてきた。
ドンブラコードンブラコー、と、物語では言っているが、実際はそんなじゃなかった。
「ズバババババババ!!ドバッバッバッ!ズブゥンドババババババ!!!!」
おばあさんの左手の方向からすごい勢いで桃が流れてくる。
美しく輝かしい桃色で、見ているだけで食欲が掻き立てられる様な桃だった。
誰もが食べたい!そう、思うが、実際危険すぎる。
川の上流から桃が流れることもあり得ないし、それに、この大きさは絶対に自然に実っていない。
人間の手によって作られた桃なのかもしれない。
衛生的にどうかとも思う。
そうして、桃へ伸ばした手は、少しずつ引いていく。
そう、それが普通の人の思考だ。
しかし、彼女は違った。
全ては薬のため、金のため!
おばあさんは、人間とは、そして、八十代とは、思えないほどのスピードで足を動かし、川の、水の上を落ちずに走った。
そして、片手で桃を拾い上げ、岸へ上がった。
まるで、何もなかったのかのような、息切れひとつない、その姿は光るものがあった。
「これで、くじゅりが買えるぅーーー!!ぐへへへへへ!うべべへへへへへ!」
光は消えた。
ここからが本題だ、この桃をあのジジィに見つからないようにしなければ、アイツはこの桃に興味を示すだろうし、なんせ、サイコパスだし。
すると、山の方から声が聞こえてくる。
この声は、ジジィ!
「桃も桃も桃も桃も桃も桃も桃も桃も四方ももももも!」
その姿は、体の間接を全て折って、完全に頭が行っている、走った叔父さんの姿だった。
落書き小説 G-write 高本マサレ @gushitomoki
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