少しつらいことがあった夜に「after days」

人はその時 その一瞬を生きている

すごく情熱を注いでいる

感動に涙している

一生懸命前を向いている

でも振り返ってみれば

ただの一日にすぎない

それでも人は生きている

今日のお話はそんな後日談みたいなものさ


こう言ってる僕もね 毎日精一杯だ

たった一日過ぎて 客観的に見ればそんなことないのに

でも人はそんな目を持っていない

二つあるこの瞳だけ

その時はそのことしか見えてない

だから争うこともあるだろう

すれ違うこともあれば

悲しみにふける夜もある

そんな傷つきやすい生き物なんだ


ただね

そうやって苦労した日々は

後になって思い出す時

輝いて見えてくるんだ

その時だんだんと受け入れられるようになる

おばあちゃんやおじいちゃんと話すと

不思議な感じがするのはそのせいかもしれないね


さあ 今からは君に伝えたいことを言っておこう

君が温かいミルクを飲み終えて眠る前にね


君はまだわからないかもしれないけどね

人の心には一本の桜の木が咲いていて

その花は果てしなく咲き 散り続ける

出会った想いだけ色を染めていく

それが心の正体だ


君はいつかその花の色を染めていく旅に出る

これはみんなしなくてはいけないんだ

そこで君はやってはいけないことがある

それは決めつけることだ

この世界の命は善であり悪だ

君はそれを見てこなくてはならない

わかったかい


そして終末に待っているであろう君の到達点は

全てを告げてくれるよ

それじゃあ話はこれで終わりだ

良い夜を…


少年は明かりを消し 一人きりの部屋で眠りについた

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夢物語 ~奏~ 上橋愁也 @sakaSHUN

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