卒業 帰り道の途中で「すべて思い出」

忘れることはないよ

君に出会った始まりの日とこの場所


出会ったのは桜が並ぶ道のわきで

ただあいさつを交わすだけだった

それでも君は優しそうな瞳をしていた


どんなに楽しかったことか

一緒に過ごした時間も涙も笑顔も

深く心に刻まれている

君が隣りにいることが当たり前の日々


でもここから先はそれぞれの道

想いは通じても決して手は届かない

この世界のどこかにいることはわかっているのに

会えない

手を握れない

その笑顔が見れない


いつのまにか桜が散り

あなたに出会えたこの季節さえも

これほど心から想うのはあなたしかいないのに

もう会えない 声が聞こえない

それがとても苦しくて 切なくて とても嫌で

思い出になってしまうのがとても怖いんだ


ここから先は一人一人の道

僕にも君にも夢がある

なりたいものがあって

歩いていく道がある

それはわかっている わかっているけど…


何度願ったことか

君と二人ずっと隣にいられる未来を

心の底から願った

想いの奥底で叫んだ

それでも道はもう戻れない

後悔はしたくないんだ


いつのまにか雪が舞い

あなたのことを深く思い出す季節になって

思い出すあなたが叫んでいたこと

二人が想いあい信じていたこと

それでもとても悲しくて つらくて 泣き出しそうで

この手が届けと願う


今日は別れの日

もう隣でいられることも

二人で時間を過ごすこともできなくなってしまうんだね

それでも僕は君を

    私はあなたを

決して「思い出」にはしない

道を歩み切った後に

必ず戻るんだ

始まりの並木に


それまでしばらくのさようなら…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る