アードウルフルート

《Year/2018/Day/14/February 部室》


部活が終わった。

大会が近いので、すごくハードだった。


部室で休んでいたら、マネージャーである1年生のアードウルフが入って来た。


「あっ、お疲れ様です、先輩」


『ああ、お疲れ』


彼女は1年生ながら、一生懸命働いてくれている真面目で誠実な子だ。


「あのっ...、先輩...」


『なんだい?』


「いつも、お疲れ様です、これ、えっと...、つまらない物ですけど...」


ベージュの箱を渡してきた。

自分はありがとうと言いつつ、貰った。


無意識に蓋を開けると、ハート型の可愛らしいチョコレートが入っていた。


『これ、アドちゃんが作ったの?』


「あっ...、はい...」


照れくさそうに両手を前で組んでいる。


『食べていい?』


「えっ?...あっ、いいですよ!」


一口食べた。


『アドちゃんは作るの上手いね、流石だよ。おいしい』


「あっ、ありがとうございますっ!」


彼女は少し顔を赤らめていた。


(・・・ん?)


自分は、蓋の裏にあったメモ用紙程度の小さな紙の存在に気づいた。

ゆっくり剥がし、文章を見た。物凄く綺麗な字で書いてある。


"先輩、いつも一生懸命で、凄くカッコいいです

まだ一年生ですが、私は先輩のことが大好きです

もしよければ...、私と付き合ってください"


『これって...』


「はっ...え...いや...えっと...その...、

ホ、ホントのコトですけど、あっ、あのっ、わっ、わたっ、私のっ、

わ、わ、わ...」


緊張のせいで言葉をみじん切りにして伝える。

彼女の気持ちは十分に伝わった。


(ここはやっぱり、正直に・・・)


[-告白を承諾しますか?-]


 〔はい〕

 

 〔いいえ〕

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