宝くじで五万円を当てたことから始まる、青春真っ只中の「男の子」二人の冒険。
登場人物は、「女の子」になりたかった夢を諦めようとする男の子と、その夢を諦めるために付き合う主人公。
五万円内で「理想の女の子」が付けるであろう物を集めていって、理想と現実と違いを実感して諦めたい。
って内容なんだけど、緩やかに流れていくキャラクターたちの心情がぐっと心を締め付けられました。
とてもとても好みだぁああ!!!
特にこうなりたいっていう目標があるわけでもないし、五万円しか持ってないし、まだまだ高校生だし。
だからこそ、読み終わったときになんとも言えないような気持ちになりました。いろんな考えや記憶が蘇っては、沈んでいき、レビューを書き始めちゃってました。いいなぁ……。
女の子ってなんだろう。
男の子ってなんだろう。
「男の子っぽい」女の子だっているし、「女の子っぽい」男の子もいる。男も女も関係ないのになぁ……って思いながらも、心の片隅では男女を分別して考えてしまう。
本当に、なんなんだろう。
私自身、女性だと思っているけど幼い頃から「男の子」になりたいって思ってた。特に努力をしようとも思ってないけど、何度も「自分が男の子だったら」と考える理想の男の子がいる。だからって、魔法使いが現れて好きな時に男の子・女の子になれる魔法をかけてあげるって言われたら、困ってしまうと思う。(嬉しいと思うけど、困惑の感情の方が大きいと思う)
スカートやリースのついた服に違和感を感じて、サイズの大きい服やゴツゴツした時計を付けたりする。でもやっぱり理想と違って、クローゼットの奥にしまう。
「似合わないなぁ、これ。可愛いのに」
(ep7.金色ウサギより引用)
諦めたくないのに、諦めないといけなくて。
なりたいのに、なるための努力もしなくて。
本当に、なんだろう。
素敵な物語をありがとうございました!!!エンディングもキャラクターも台詞も全部大好きです!!!!本当にありがとうございます!!!
男子高校生が「女の子になる」夢を諦めるために、女の子の好きそうな可愛らしいものを淡々と買い集めていく青春ストーリー。
自分には似合わない可愛らしいものをあえて購入することで、似合わない事実を再確認したいのか、それともただ女の子らしい可愛らしいものをコレクションしたいだけなのか。
拘りあって買い集めているように見えるのに、購入した物品そのものに興味はないらしくって、青春とはよく分からない。
この物語はそんな感じのよく分からない、衝動のような、多分爽やかなエンドを迎える。
「え、それでいいの?」と部外者はいいたくなるかもしれなけれど、そこはぐっと我慢。
青春は迷走してこその青春なのだ。