私は昔からカルピスを濃く作ってしまう、ほとんど原液に近い濃さで。市販のカルピスウォーターは薄くて味気無い。それと同じだ、ここにはエッセイとして記された家賃滞納者の剥き出しの現実と、文章から伝わって来るどす黒い感情がある。それは、出版社や編集者によって(おそらくは)希釈されていない原液。だからこそ、読み応えがあって面白い。
貴方の日常のすぐ隣に潜む、平々凡々たる暗闇の話です。やりきれなくて、どうしようもなく面白い!さらに、この話をどう感じるかで、読む貴方自身の「お花畑度」も試される、のかも知れませんよ。また人生の勉強にもなります。私は自分住むマンション自治会の理事に加わっていますが、問題行動をする居住者への対処に光明を得ました。そして、私の住むマンションもまた「大島てる」に載っているのです。ひとつ上の階が。