第3話 繋がる点と線
無機質な工材の白と灰色だけの部屋。
森林での一件で、二人は
二人よりも年上だがこの職務上、彼女も
書類に目を通した後、顔に掛かる少し茶色がかった黒い髪を手で整えて、
取締人たちに視線を合わす。
「二人ともご苦労!! 例の異能犯罪絡みの野生動物はさっき診てみたよ。」
「____それで、何か手掛かりはありそうですか……?」
こちらの苦労も知らずか、疲労が隠せない将輝とは対照的に、彼女はとても上機嫌であるように感じる。
「まぁ、君たちならもうご存知だと思うけど、間違いなく昨今頻発している一連の事件と同一人物か同じ組織の連中の仕業だね。」
「
「そう、それなんだよ。この猪を使った呪術……おっと、正式な分類は
「本来であれば、媒体に使用する生物は死後、一~二時間以内、もしくは、術者が制御するための呪物を媒体に入れる必要がある。君たちも大体そこらへんは分かるだろう?」
何か言いたげな
「一条さん、それなんですが、この猪には陰の力……いや純然たる闇霊しかなかったんですよ。」
「そう、
「ですが、一条先生!、確かにこれは動いてましたし、何より姿形が通常の死霊術とはまったく違っていて……」
言葉を言い切るまえに、一条が椅子から立ち上がる。
先ほどまでの、表情とは違う、優しい年上の女性ではなく、そこには二人に魔導を教えた魔女。
「そう、表向きは死霊術ってことになる……だけどね、これは死霊術の中でも、遥か昔、この日本で創られたとある術式と
「先生、いったいどういうことなんですか? その術式と今回の事件に何が……?」
将輝が疑問を拭えずにいると光幸が割って入る。
「一条さん、いや、
光幸の顔も今は、いつもの
「____はぁ、わかった。 じゃあ、次の日曜に帰るから、ちゃんと掃除しといてよね、二人とも!! いつも、帰ってくると物が散乱してるんだからっ!」
「ハハハ……わかったよ。今度こそ
それから、数十分ほど別件の話をした後、二人は封神庁を後にした。
その道中で、将輝が光幸に先ほどの話を止めた事を問う。
「なぁ、さっきなんで研究室で、先生の話を止めたんだ?」
光幸が少し不機嫌そうな顔で返す。
「あぁ?そりゃ、____
「はぁ……?どういうことだよ。」
「____将輝、ちと痛いけど我慢しろよ!」
「
将輝の左手の掌を強く握り、手にエーテルを集中させる。
「痛ってぇ!!!なんだよ光幸!!」
「____
将輝の視線の先、掌では異常なことが起きた。
無数の紐状をした蟲が湧き出てのたうち回りながら掌から地面に落ちていく。
凡そ、その様は腐乱した肉に集る蛆虫を彷彿とさせた。
「な……なんで、こんなものが僕に……?! しかも、これって……!?」
「
「とりあえず、よかったな将輝。お前が鈍感なおかげで、真希姉と俺が先に気づいたから、
将輝は、血の気が引いた体で光幸を見つめた。
そして、その瞬間、何かが自身の中で蘇る。
「______、我が
「はぁ、なんだ?今なんて言った? 」
「おい……将輝? おい、大丈夫かオイ!?_____、しっかりしろ……!?」
光幸の叫ぶ声がだけが聞こえる。
(第四話に続く。)
現代討魔伝~異能犯罪取締人~ 相馬尚輝 @naonao141
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。現代討魔伝~異能犯罪取締人~の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます