第4話 日常と記憶

「起きて……」 「起きて………」


「っっ……!、、、はあ、まただ。

一体誰の声なんだろう……」


男はため息をつき、ベッドから出た。


「うぅ〜やっぱり冷えるなー」


服に着替えて、カバンを持ち、そして外に出た。

辺り一面に雪が積もってはいるが、今日はとても晴れている。


「うん!この天気が一番良い!」


男は冬の気持ちいい空気で深呼吸をし、


「よし、今日も良い一日にしよう!」


と言って、歩き始めた。



「おう!小春!」


遠くから、自分を呼ぶ声が聞こえた。


「お?なんか今日は一段と気分が良さそうだな?」


「そうか?いつも通りだと思うけど?」


彼は男の親友である誠だ。


「まあ、いいや、早く行こうぜ」


「うん!」


「なあ、小春ー、俺さ…ちょっと気になってる子いるんだけどよ…」


「うん!どんな人?

誠が好きな人できるのなん年ぶりだ?」


「そんなの、わかんねぇ、、、3年ぶりぐらい?」


「いや………、いち、に、さn……6年ぶりじゃない!!??」


「おう、そんなにか。って、そんな事どうでもよくて、、

今度、その子と遊ぼうと思ってて、、


「おう!良いじゃんか」


「お前の約束してたの、いけねえかもしんれない。」


「ああ、その事でキョドってたのか、良いよそんなの。

いつでもいけるだろ?」


「すまんな、恩にきる」


「絶対に逃すなよ」


「おう」



大学につき、教室に入り、二人とも定位置についた、小春は一番端っこの窓側、その隣に誠が座っている。

この授業は別に聞かなくて良い授業だと、寝ている人もたくさんいる。

小春は窓の外を見ていた、


「あ、そういえば、誠、その女の子はなんて言うんだ??」


「俺は蘭さんって呼んでる」


「蘭さんか、苗字は?」


「橘。」


「橘さんのどこが良いと思ったの?てか、何があった?」


「急だな、、それは、、

まあ、まずは第一印象が良かったってところかな?

その人、理系なんだよ、それで、この前、文系の人、理系の人と一緒に合コンみたいなのしたんだよ、ちょっと大きい所で。

お前が用事あるとかで、行けなかったやつだよ。」


「ああーあれね」


「そそ、そこで、俺あんまりそういうの興味なかったから、端っこの方で、呑んでたんだよ。

それで、窓の外を見たら、一人こんな寒い中、グラス持って、外で一人で呑んでる女がいたんだ」


「それが橘さんってわけね」


「そ、で、そんな女、始めて見てさ、どんなにつまらなくても、こんな寒い中、外でねえだろ、ましてや、大学の女子って、これに参加してる限り、男狙いに来てるだろ?だから珍しくって」


小春は興味を示して、うん、うん、と首を縦に振った。


「俺も外出て、

『あのー風邪ひきますよ?中に入りません?』

って言ったんだよ。

そしたら、『大人気の人がなんで、私なんかに声かけるんですか?』

ってちょっと嫌味ったらしく言われて、

『大人気ってなんですか?バカバカしい』


『女子全員狙ってますよ』


『俺あんまり、興味ないんで』


『あーそうですか』


『あのー何してたんですか?』


『…………私の友達、寒いの強いんです』


『はい?』


『だから私も慣れようとおもって』


『はあ』


「こうやって話した後、沈黙が続いたんだけど、なんか気まずくなくて、

彼女見たら、なんか、こう、すごく、、、、綺麗で、他の男どもはなんで、こんな綺麗な人を口説かないんだろうと思ったのが、出会いだ。」


「ほう、まこっちゃん恋に落ちちゃったってわけね」


「ふざけるな」


「ごめんごめんw

でその後は?」


「その後連絡先聞いて、今度遊びに行く感じ、、」


「良いじゃん!

応援するよ」


「ありがとう」


授業が終わり、庭で二人は昼食をとっていた。


「実は、俺も誠に相談したいことがあって、、」


「おう!なんだ?」


と誠が言うと、あっちから、二人の女子が歩いて来た。

誠と長い前髪を分けておろしているボブの女子が同時に


“あ。”


と言った。


「誠、あれが橘さん??」


誠は小春が小声で言った事が聞こえなかったようで、無視し、

立ち上がり、こう言った。


「あの!昼ごはん一緒に食べません?」


「あ、でも先約があるので」


女の方はとてもクールだ。

するともう一人の女子が


「いいよ、食べて来たら?」


と言った。

そうしたら、


「じゃあ、食べましょうか。」


といって、誠と橘さんは行ってしまった。

ガチガチに固まった誠を見るのは久しぶりで、小春は釘付けで笑いを堪えていた。


(本当に好きなんだな)


そう考えていると、


「あのぅ」


後頭部の方から、聞き覚えのある声が聞こえた。

振り返ると、さっきは気づかなかったが、この前会った、美しい女性だった。


小春はびっくりして、椅子から転げ落ちてしまった。


「わあああぁぁ!!」


二人とも大きな声を出した。


目を開けたら綺麗な空が広がっていたので、思わず、


「今日も空が綺麗だ」


「なに呑気な事言ってるんですか??」



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君の心を溶かしてもいいですか、 晴れ男と雪女の物語 @Twoki

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