第3話
女は男と別れ、家に帰った。
「お帰りなさいませ、お嬢様」
「ただいま、ばば。」
「どうかいたしましたか、お顔が優れないようで。」
「私、ブレスレット失くしてたの。」
「........それは、、あり得ないことです。」
「え、どういう、意味...」
「..なぜ...失くされたのですか。」
ばばは、私の質問をかわして何かを隠しているようにみえた。
「昨日落としたみたいで、いつも通るあの橋に行って探していたの。
でも、全然見つからなくて、、でね!そこに、私と同い年ぐらいの男の人がきて、その人が私のブレスレットを拾っていてくれて、、、
とてもいい人だったの。」
女は恋をしているかのようにとても愛らしい表情で微笑んだ。
「でも、、」 「どうなされたのですか、」
「なんか、とても不思議な感じだったの、何かわからないけど、、」
ばばは眉をひそめて、困った表情をしたが、少ししてから決断したかのように口をあけた。
「.....。いいですか、お嬢様、よく聞いてください。まだ、お早いかと思いますが、、、お伝えいたします。」
「そのブレスレットは、旦那様と奥様、つまり、お嬢様のお父さま、お母さまがお嬢様が生まれた時に、お嬢様に授けたものです。」
「そのブレスレットは2つの役割がございます。」
「その1つはお嬢様の力を制御するものでございます。」
「でも、いままで、私は力がほとんどない..と..思っていたわ、、」
「それは、ブレスレットがお嬢様の力を制御しているからでございます。」
「お嬢様のご両親は、あの雪の国の王様とお妃様です。お二人とも莫大な力を持っておられました。その血筋をたったお一人、受け継いでおられるのがお嬢様だけなのですから。
お嬢様の力は幼い頃から、旦那様達さえも止めることができないぐらいのものでした。」
「.....。」
「とは言っても、小さい頃から制御の仕方をしっかりと教わられたのですから、今は並大抵のことがないと、力は暴走しません。」
「ブレスレットをつけて見て下さい。」
「....あ、うん。」
そう言い、女はブレスレットをつけると、ブレスレットに雪の結晶が作られていき、輝きを増した。
「うわぁ....初めて見た」
「なんとも、美しいものです。
それが、お嬢様の力を制御しているのです。」
「そう..だったんだ......。
で、さっき話しを逸らしてたけど、ブレスレットが外れないというのは、どういうこと?2つ目の役割に関係があるのかしら」
「はい。2つ目の役割は、、
運命の人を探す役割です。」
「運命の人?......え...じゃあ、、。
「はい。結論を言うと、その男がお嬢様の運命の人です。」
「え、、でも。そんな、、知らないし、、。」
「お妃さまは、言葉の出ないほど、とても美しい人でした。その上、力も優れており、お妃を自分のものにしたいという愚かな者のせいで、たくさんの危険な目にあっておられました。その美しさは、お嬢様にも受け継いでおります。それで、お妃様はお嬢様を思い、この役割をブレスレットに込めたのです。」
「そんなことまで......」
女は少し視界がぼやけたが、気を張り正常の視界に戻した。
そして、気が滅入ったのか、少しふらついた。
「.....今日は少し疲れたでしょう。この話はまた今度にして、お眠り下さい。」
「.....うん、、そうするわ。ごめんなさいばば、ありがとう」
「いえいえ、おやすみなさいませ」
ばばの声が子守唄のように優しく、包み込んでくれるかのようで、女はすぐに、眠りについた。
(しかし、お嬢様が幼い頃、一回だけ、ブレスレットがはずれたことがあったが......どういうことなのかしら、、。)
「綺麗な寝顔ですこと。」
ばばは、見守るような優しさで、笑った。
「見た目は奥様似で、内面は旦那様に似ていて、とても良い子に育っておられますよ、お二人とも」
ばばは微笑み、部屋から出た。
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