第2話

雪がやみ、男は大学が終わり、家に帰った。

橋で拾ったブレスレットを眺めていた。

光に当てると、より輝きを増し、とても綺麗だった。

なにか、とても惹きつけられるものがあるかのように、男はそれから目を離せなかった。

男は眠りについた。





「また、同じ夢だ」


朝になり、今日は大学が休みだ。休みなので早く起きなくても良いのに、起床時間が規則的になっているみたいだ、、


「ブレスレット、、返さないと、」


そう言い、男は服に着替え、外に出た。今日は少し激しい雪が降っている。

男は橋に着く。

すると、橋にひざまづいて、下を見ている女がいた。

見ているだけで、痛くなりそうなぐらいに、女は素手で雪の中を探っていた。

見間違えかもしれないが、彼女の周りのふわふわであった雪が探せば探すほど硬い氷になっていく風に見えたがそんなことよりも、

男は我慢できなくなり、女に駆け寄り、


「どうぞこれ、使ってください!」


と言い、自分のしていた手ぶくろを女に渡した。

女は、下を見ていた顔を持ち上げ、男を見つめた。


男は身に覚えのない気持ちにかられた。


「大丈夫ですよ、お気遣いありがとうございます」


女は、どこか冷めた微笑みを浮かべた。


「いや、でも..手が痛そうです」


男は心配そうな顔をした。それを見た女は、今度は暖かく隠し笑いをし、


「私、寒さに強いんです」


と、答えた。


「そうですか...指先、怪我しないでくださいね」


「はい。」


「ところで、何か探しているように見えましたが、、」


「あ、はい。少し、落し物をしてしまいまして。」


「落し物....

もしかしてブレスレットを落とされましたか」


「.....

なぜそれを?」


「昨日、僕もここ通って。その時あなたの顔は髪で隠れてて見えなかったんですけど、あなたとすれ違った時に落とされて、拾ったんです、これですよね、どうぞ。」


女はそれを受け取り、とても驚いた顔をし、


「.....ありがとうございます。」


と少しかすれた声で言った。


「....あ、でもこれ、とても綺麗ですね、


男は顔を上げ、女を見るととても美しく、息が詰まったように言った。


.........め、目が離せないぐらい綺麗です。」


「この....ん?..」


男はブレスレットを改めてみて、昨日はたくさんついていた、雪の結晶が減っている気がして不思議に思った。


「どうか..しましたか?」


「えっ、あ、いや、この真ん中についている花がとても綺麗で、

僕、初めて見ました。

何という名前の花ですか?」


「あ、これは、

雪割草という花です。」


「ユキワリソウ?」 「はい」


男はさっきから、女が少し気が弱いように見えるのが気になったが話を続けた。


「なんか、あなたにお似合いですね」


男は微笑んだ。

その微笑みを見た女は、少し気を許したかのように、満面の笑みを浮かべた。

その微笑みを見た男は、またもや、心が締め付けられた。


「あの、この橋はよく通るのですか」


「あ、はい。通学路です。」


「僕、立冬大学という大学の3年生なのですが、あなたは?」


「え、私も一緒の立冬大学の3年生です!」


「そうなんですか!僕、文系で、」


「私は、理系です」


「なんか、運命みたいだ」


男は嬉しそうに微笑んだ。


「また、会えるでしょうか」


寒さか照れかわからないが、男は恥ずかしそうに言った。


「会えたら、良いですね。」


女は下を向いて恥ずかしそうに答えた。

男も下を向き、時間が流れた、いつしか激しく吹いていた雪が優しい雪に変わっていた。

じれったいような、こっぱずかしいような、でも、ずっと続いて欲しい時間だった。


これが、運命の出会いであった。





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