(14話 「アイスクリームを食べよう」まで読んでの感想です)
タイトルの通り、迷宮主であるブラッドガルドさんがおやつを食べる話です。
おやつを提供するのは現代日本の女子高生、瑠璃ちゃん。
ドーナツ、クッキー、マカロンetc. 、みんなが知っているお菓子が登場します。
瑠璃ちゃんのお部屋にある鏡が迷宮主の居場所とつながっているので、こういうことになったのですね。
二人の軽妙なやり取りはもちろん、それぞれのお菓子のうんちくを読むのも楽しいです。徐々にブラッドガルドの性格や置かれた状況が明らかになっていきますし、彼が現代日本の雑誌やゲームを楽しむ様子も面白いです。
お菓子を主題としつつ、ときおり挿話や閑話を挟むことにより、効果的に世界観を伝えることに成功しています。
様々な要素をとても分かりやすく、そして楽しく読めるようにまとめた、見事な作品です。幅広い層の読者が楽しめると思います。
キャラ同士の会話で知識的なものを紹介する、という作品はそれなりに世にある気はするのですが、この作品はキャラが素晴らしいです。
普通の(でもだいぶ肝の太い気がする)女の子と、滅びかけの迷宮の主。
迷宮の主は内心を含めて見ても善人だとは思えないけれど、チョコレートが好きだということを女の子に悟られていたり、食べ物の由来に興味を示したり、なんだか可愛い。
読むうちに背景世界のことがわかりだし、復活してほしいような、復活はしないでずっとお茶会を続けてほしいような、複雑な気持ちに駆られます。
最新話で何かが起こりかけているのが描かれていますが、迷宮主さんと瑠璃のお茶会はこの先も続いてくれるのでしょうか。
とても先が楽しみです。