第5話 魔法道具

さて、今日の午後は何して過ごそうか?


今日の午前は身体検査をして終わってしまった。午後は魔法道具でも作って過ごそうかな?この世界に来てから気になっていたんだよね。

和也は一旦小屋に戻ることにした。



カバンの中にはいろいろな道具が入っている。その中から魔法道具作成の道具を取り出す。

中には魔法陣の描かれた工具と布が入っている。


今日作ろうと思うのは見本があるこのなんでも入るカバンだ。

作り方は簡単。まずは革精製道具で普通のカバンを作る。次に魔法陣が描かれている布の上に出来上がったカバンを置いて魔力を流す。俺は魔力が結構あるらしいので、これで苦労することはないだろう。まぁ、これで完成するはずだ。


では、やってみよう!


まずはカバン作りから。革はこの間食べていた獣の革を使おう。

和也は切った革を魔法のかかった糸と針で縫い付けていく。

数分で三枚の革を縫い追わせ終わった。

次は魔力を流すっと。出来上がったカバンを布の上に置き、布に魔力を流していく。

しばらく布の発光が続き、カバンが光を吸収していく。

少し経つとカバンが淡い黄緑色の発行を始めた。知識が完成したと教えてくれる。


(お、完成したかな?)


和也はカバンに手を突っ込んでみる。

手を突っ込むと既存のカバンと同じように手がどこまでも入っていく。試しに物を入れてみよう。

近くにあった木片をカバンの中に恐る恐る入れる。木片は見事にカバンに吸い込まれるように消えてった。

次はちゃんと出るかの確認だ。和也はもう一度カバンの中に手を突っ込み、中を探って木片を手にする。しっかりと取り出すことが出来た。これでこのカバンは完成だ。


(ん?でもこのカバンどうしよう。既にカバンは持ってるし。うーん?)


少し悩んだ結果、売り払うことを決めた。このカバンを売るだけで、一年は遊んで暮らせると知識が教えてくれている。



町は今日も賑やかだ。辺りからは、露店の売り子の声が聞こえてくる。

このカバンを買い取ってくれるのは最近よく行く道具屋か、装備品の売っているお店だ。和也が選んだのは、道具屋の方だ。少しは面識がある方が売りやすいだろうと思ったからだ。


「いらっしゃい」


和也が店に入ると店長のおっちゃんは元気に出迎えてくれる。

店に入り、まずは少し店の中を探索。面白いものが売っているかもしれないから

ね。

和也はカバンをカウンターの上に置き、このカバンの効果を説明した。


「そりゃ本当か?それより、これは本当にお前さんが作ったのか?」

「はい、そうですよ」


店長は深いため息をついて、もう一度カバンの査定を始める。


「お前さんはこれがどれくらいの価値があるか知ってるか?」

「いえ、そこまで詳しくは。ひと月遊んで暮らせるくらいの価値があるとしか」

「そんなに低くないよ。今は王族でも持っている人は国王とその近しい人しか持っていないくらいだよ」


(え?そんなに価値があったの?)


和也に与えられた知識ではそこまで価値があるとは言っていない。


「そんなに価値があるものなんですか?」

「ああ、そうだな。貴族たちだったらこれだけで五百万リオンはくだらないだろう」

「そ、そんなに価値があるんですか?」


(この世界に来てこれほどまでに驚いたことがあっただろうか)


「で、これは売ってくれるのか?」


店長は食い気味にこちらに聞いてくる。まるで獲物を狙った鷹の目だ。


「う、売りますよ。もちろん」

「そうかそうか。それで、いくらで売ってくれるんだ?」


どんどん、店長の目が血走っているように見えるのは気のせいだろうか?息も少々荒くなっているようだし。

値段は知識が前もって教えてくれていた金額にする。新たな情報が入ったが、変えることはしない。


「百万リオンです」

「へ?百万…?さっきの話聞いてた?貴族に売れば最低でも五百万リオンで売れるんだよ」

「はい、聞いてましたよ。でも、前もって百万リオンで売るって決めてたので」

「そうなのか。こっちにとっては得するけど、お前さんは損をしないか?」

「大丈夫ですよ。また必要になれば作ればいいですし」


俺はいくらでもこのカバンを作ることができるし、別にそこまで損するわけでもない。


「そうか。じゃあ、ありがたくその値段で買い取らせてもらうよ。流石にすぐには用意できないからまた明日そのカバンを持ってきてくれ」

「わかりました」


和也はまた大瓶を買って、清水を汲んで帰ることにした。

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生産職は最強職! 因幡 天兔 @Rabbit_usagi

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