彼女

土居津

〇もどかしい恋

僕は彼女に連絡をしてから、少しばかり後悔する。もっといいタイミングがあって、彼女の気分を害してしまうのではないだろうか。そんな不安を募らせる。

ー今度、食事に行きませんか?

ー気が向いたらいくね。

→ありがとう。いつなら...

いや辞めておこう。今彼女はその気分ではないのかもしれない。

ーありがとう。んじゃ今度ね。連絡する。

「これでよし。」

いつもこんな感じだ。彼女に必要以上に気を使い過ぎているのではないか。もっとラフに連絡をすることが出来れば、もうとっくの昔に食事なんて行けていたのではないか。何回も。ずっとそう思いつつも、いざ連絡をしてみればこの調子である。

他の異性にはない、彼女のなにか不思議なオーラが、僕をそうさせている。肝心なところで奥手な僕なんか近寄らせない抜け目ない雰囲気。それなのに前にあった時は、彼女はどこか抜けたような顔をしていた。それに彼女を知る人からの彼女のエピソードもどこか抜けているものばかり。

そのギャップがとても気になってしまって。

そんなギャップを埋めてしまいたい自分とギャップを埋めてしまうことに恐れている自分とのジレンマでこの体たらくだ

「...」

ーおやすみ

短めに切られる会話。彼女はなんの躊躇もなく、「おやすみ」か「これから出かける」か「これからご飯たべる」で会話を切る。彼女なりの会話術。会話への未練なんか何もない。口下手であろう彼女は常にどう返していいかを考え話すと前に言っていた。

そんなこと考えさせないくらいの魅力が僕にあったら、彼女は困ることはなく、返信を連打できるだろうに。

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彼女 土居津 @avekuuki

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