現代都市伝説シリーズ〜平山夢明トリビュート〜

文月

パラパラ

小林さんは出会い系を通して生行為をするのが趣味だった。

しかも、狙うのは40台以上だと言う

「最初は若い子が釣れなくてなんとなく熟女相手にヤッたんですけど、思いの外良くてはまってしまって。だいたいそういう年齢の女性って旦那がもう勃たなかったり、独身で肌を重ねる相手が居なくて生欲が溜まってたりするんで、割と美人でも相手を探していたりするんです」


何回か数をこなし、慣れてきた頃。小林さんは「えぐい系」に手を出すことにしたのだという。

「えぐい系」とは出会い系サイトの出会う条件が極端に低い相手のことで、美人局か危ない病気持ちがほとんだなのだが、刺激が欲しかったのとプラベートで嫌なことがあったため、会ってみることにしたのだという。

「どんな化け物がくるんだろうと思って……今思えば間違いでした」

DMでラインを交換し、都内の喫茶店で会うことにした。

来たのは40代前半の女性で、年相応に美人だったという。

離婚したばかりで寂しくなり、出会い系サイトに登録したのだという。

「これはいいのが来たなって思ったのと同時に、これだけ美人なら相手に困らないんじゃないかなって思いましたね」

ただ、土のような匂いがかすかにしたのが気になったものの、加齢臭かと思い気にしなかった。

コーヒーを数杯飲んだ後、ホテルに行くことにした。

小林さんが先にシャワーを浴びている最中、ふと相手のことが気になった。

ガラス越しに確認してみると、湯気に霞む中相手がベッドに腰掛け、顔を両手で擦っているのが見えた。

シャワーを浴び終え、背を向けている相手に忍び足で近づいてみると、なにやら足元に糸のようなものが転がっている。

蛆だった。

まん丸に太った蛆が顔をこする度パラパラと落ち、うねうねと身をよじらせている。

小林さんがあまりのことに絶句していると、相手がこちらを振り向いた。

顔皮がズルムケになり、ベーコンのようになった顔面に干からびた眼球がのぞいている。


小林さんは貴重品だけを持ち出し逃げ出した。

「その後一週間くらい原因不明の熱が出て参りました。ラインにも鬼電がかかってくるし、いまだになんだったのか分かりません」

小林さんはそれ以来エビが食べられなくなったという。

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