名古屋には独特の食文化がある。
そう聞くことは多いけれど、それにまず情報からアクセスするための適した読み物に出会うことがなかった。
せいぜいが雑誌やネットのライトで端的な記事に触れ、漠然と「ちょっと変わった食べ物が色々あるらしい」という印象を持つ程度だった。
そこにこの「名古屋めし語り」である。
話に聞いたことのある、または今まで聞いたこともない名古屋の食べ物、食べ方が、実にうまそうに鮮やかに書き綴られている。
名古屋という土地において、思わぬ歴史があるもの。生活と文化の中にあるもの。日常そのものであるもの。
これはいつか、ちょっくら名古屋に食い道楽に行かねばならぬのではないかと思わせる、良質で楽しい読み物に仕上がっている。
「何故ならば、ジャンボエビフライなのだ」。このタイトルに代表される、心を引きつけてくる各章に興味を引かれたなら、ぜひその感覚を信用して、お好きなところから読み始めてみてほしいと思う。
めくるめく名古屋めしの世界が、あなたを待っている。