両親を亡くし、高校生のお姉さんと力をあわせて日々暮らしている小学五年生の八雲くん。彼が恋をしたのは、お姉さんの親友だった。
年上のお姉さんへの憧れ――で、終わってしまいそうな初恋。けれど、八雲くんはあきらめません。
物語はとても長いスパンでふたりの恋と人生を追いかけています。懸命に追いかけ、すれ違い、空回りしながら、互いを想う気持ちだけは変わらない。
そして、作中たびたび出てくる『12』という数字。ラストまで読むと、ああぁーなるほど! と思わされる納得感とすっきり感が、とても気持ちよかったです。
また、こちらは『お隣の吸血鬼くん』のスピンオフ作品ですが、こちら単独でも問題なく楽しめると思います。が! 本編を読んだ人だけがにんまりできるエピソードもそこかしこにあります。ので、ぜひ両方読んでみてください。楽しいですよー。
ふと小学生の時に夢中で読んだ少女漫画を思い出しました。漫画であったのなら全巻コンプリートするだろうなと思います。主人公の八雲くんはとにかくハイスペック、ヒロインの霞さんは可憐で少し大人なお姉さん、でもそう見える霞さんにも悩みはあって……。
お互いが好きどうしでも上手くいかないこともあるのだなと勉強になりました。小学生と高校生の恋愛、現実にはあまりない話だと思いますが話はとにかくリアル、各人の描写も深く掘り下げられて「うんうん」と頷くところがたくさんありました。個人的には八雲くんのお姉さんの皐月さんも気になります。しっかりしていて弟思い。素敵な人だなと思いました。
本作はお隣の吸血鬼くんという作品のスピンオフ作品だそうですが、元作品を読んでなくてもしっかり楽しめました。
そこのあなた是非読んで行かれませんか?
このお話の主人公は、お隣の吸血鬼くんシリーズでお馴染みのスーパー愛され系弟『八雲君』と、その八雲君のお姉さんの親友『霞ちゃん』。
そう、『お姉さんの親友』なわけです。
ということは、年上です。
しかも、1歳や2歳じゃない。5歳です。
想像してみてください。
もしあなたが5歳下の子から――しかも、親友の弟から本気の好意をぶつけられたら。男女逆ならありそうですけどね。
しかも、当時は小学生!
普通なら軽くあしらって終了なはずです。
けれど、そんなことにはならずにお話は進んでいくのです。
霞ちゃんがショタコンだから?
いいえ、まさか。
八雲君がとびきり良い男だからです。
追い付きたい12センチはあっという間に縮められるけど、こっちの5歳は何があっても縮まりません。
けれど、もう、そんな『差』なんてきっと気にならなくなります。
大人のように見えていた彼女は、本当は無理をして背伸びしていたりして、
すっかり大きくなった彼も、やっぱり彼女の前で恰好つけていただけだったりして。
時にすれ違ってぶつかって、でもやっぱり真ん中には一本『好き』って気持ちが通ってて。
微笑ましいと思いながら、思わず画面に向かって「頑張れ!」とエールを贈りたくなる、素敵なお話です。
ちなみに、『お隣の吸血鬼くんシリーズ』から読むと、感動もひとしおです。これは読むっきゃない!
同じ作者の作品『お隣の吸血鬼くん』で登場していたしっかり者の小学生・八雲くんが活躍する恋の物語です。
今回の作品はもう一つの新たな物語として、路線も新たに爽やかな恋愛模様を描き出していきます。
主役の八雲君がしっかり者で、小学生にして将来のイケメンぶりを発揮しつつ、憧れのヒロインに追いつきたいと奮闘する姿がなんとも微笑ましくカッコよく描かれます。
対するヒロインの霞さんもまた、ちょっと予想外の年下の告白から、グラリグラリと心が揺れ動いていきます。
もうこの二人の距離感がくっついたり、離れたりが読んでて身もだえします。この辺りは作者の絶妙な構成が素晴らしいです。
基本的にコメディータッチで楽しい物語ではあるのですが、それだけで終わらないのがこの物語のすごいところ。
きちんと彼らの人生と成長が描かれていきます。
タイトルにも隠れている12センチ、その差がゆっくりと縮まり、追いつき、そして……
と結構長いスパンで二人の関係性を追いかけていきますが、飽きさせることなく、最後の最後まで楽しむことが出来ます。
さらにおススメは冒頭にも書いた『お隣の吸血鬼くん』を事前に読んでおくと、分かる人だけに分かる驚きの展開が多数、隠されていることです。
もう本当に驚きなのですが、あまりにもさらりと書いてあって……これは読んだ人だけが分かる楽しみだと思います。
とにかく楽しめる物語です。
ぜひ読んでみてください!
最初から最後までキュンキュンドキドキしっぱなしでした。
題名にもある12センチ、主人公はまだ小学生の男の子ということで、ああこれは○○の差なんだろうな、と予想はつきます。主人公の八雲くん、その12という数字にずっとこだわっています。作者さまはこの数字を何度も取り上げて色々な意味で使っておられました。最後まで読んでああ、なるほどとうなずかせられました。
私など、青春なんて遥か遠い昔のこと、すっかりスレて枯れ果てた大人ですのでこんな一途でピュアでピチピチな恋物語には心が洗われました。脇役の皆さまもいい味を出しておられます。
この作品の前に関連作「お隣の吸血鬼くん」を読んだ時、そこに出てくるカップルを「君たちいつになったら……ハァ」みたいな半分諦め感で見ていたのですが、意外や意外この二人こちらの物語後半で何と!……とこれ以上はとても申せません。
というわけで、是非お読み下さい。
二十歳も半ばを過ぎたら、別に恋愛に『年の差』って関係ないかな、と個人的には思います。(もちろん、犯罪はいけませんよ)
年下カレシでも、年上カノジョでも、三歳離れていようが、五歳離れていようがあんまり不自然には思わないのだけれど。
これが、男の子側が小学六年生。恋した相手が高校一年生となると、様相が変わってきます。
明らかに一方は子どもな訳で。
身長差も、体格差も、そして考え方にだって違いが出てくる。
なんてったって、二人には確実に『距離感』がある。
『好き』なだけに、もどかしい。『好き』なだけではどうしようもないから焦れる。
そんな微妙な『距離感』がありながらも、この作者様特有の、ふんわりとした雰囲気と主要キャラクターの柔らかな造形がうまく作用し合って、なんともほのぼのとした世界が作り上げられています。
「大人になれば、そんなことなんでもないんだよ」
と、つい言ってしまいがちになりますが……。
渦中にいる『当事者(こども)』からすれば、
「大人になるまでじゃあ、どうすればいいの」
というところでしょうか。
その必死さと純粋さについ主人公の八雲くんを応援してしまいます。
さぁ、どうぞこの作品をご覧になり、あなたも是非、『八雲君と霞さんをくっつける会』にご入会ください!
「その12センチを埋めたくて」
「その12センチを追いかけて」まで読んだレビューです。
あらすじにある通り、主人公・八雲君の恋物語です。
そして同時に、成長の物語でもありました。
両親を亡くしていたり辛い設定はありますが、その辺りで重くなることはありません。
穏やかでほんわかした雰囲気で話が進みます。
純粋に恋愛物として、身構えずに楽しむことができます。
八雲君が本当に良い子で、そしてカッコイイところを見せたりもします。
思わずニヤニヤしてしまいますね。
……本当に、どこでそんなテクニックを覚えたのやら。
そういうので癒されたい人にはオススメです。